お知らせ

気仙沼・愛耕幼稚園「なかよしコンサート」へ

2017.11.29

 

一年に一度、お伺いしている気仙沼・愛耕幼稚園。津波浸水地域からの通園も多く、かつては半数以上の園児が仮設住宅やみなし仮設、親御さんの実家などから通っていました。ようやく、ほぼすべての園児が公営住宅や新しい自宅から通っています。園庭には支援で贈られた新しい遊具もあり、子供たちは元気いっぱい。「なかよしコンサート」は年長クラスの子供たちが、歌のおねえさん(メゾソプラノ後藤優子さん)と、ピアノのおねえさん(菅野静香さん)と、一緒に音楽をたのしんで仲よくなれますように、と考えて付けてくれたました。

この愛耕幼稚園は、ピアノの菅野静香さんが卒園3か月前まで通った幼稚園。まだ、ピアノを習っていなかった当時の菅野さんが「きらきら星」を弾くのを聞いて「あら?しずかちゃん、とっても上手ねぇ」と声を掛けたくれたのが、現・園長 小山先生だったのだそうです。その小山先生の一言がきっかけとなり、現在はピアニスト、ピアノ教師として活躍していらっしゃいます。昨夏、初めて気仙沼へご一緒した際に、そのことが分かり、一緒に小山先生を訪ねたことがきっかけとなり、今回の訪問が実現しました。

これまで礼拝堂で開催していたコンサート、今回はグランドピアノのある園舎内のホールが会場です。ピアノのそばには、今日も素敵なお花が飾ってありました。そのお心遣いに、こちらもとてもうれしい気持ちになるものです。そして、優子さん静香さんが仙台から持参したクリスマス飾りの数々も加わり、ホールはすっかりクリスマスの雰囲気になりました。保護者の方たちが、小さい妹弟さんを連れて、20人近く来てくださったのも、とても嬉しいことでした。

「アメイジング・グレイス」が始まると、子供たちはひざ立ちになって、後藤さんの素敵な歌声に驚き、ぽかーんと口を開けて聴き入っています。菅野さんが幼稚園の頃に好きだった「ひとりの手」は、今も子供たちに歌われているようで、みんな一緒に歌ってくれました。先生たちもお母さんたちも、その子供たちの様子を見て笑顔が溢れました。ヴィヴァルディの「冬」をアレンジした「白い道」、また、菅野さんのピアノ独奏で「きらきら星変奏曲」を抜粋して。演奏の前の「私もね、みんなと同じ頃、この愛耕幼稚園に通っていたんだよ」とのお話しに、子供たちは想像がつかなかったのか、不思議そうな表情を浮かべていました。

その後は、子供たちの好きな歌をと「Let It Go」「アンパンマンメドレー」「夢をかなえてドラえもん」…子供たちの大合唱と共演です。後藤さんがこの日のために覚えてきてくださった「アンパンマン体操」は、園児のみんなも音楽が始まった途端に立ちあがり、元気いっぱいの共演となりました。「Let It Go」が流行ったのは既に数年前のこと、もう古いかしら…との心配は無用でした。3歳児クラスにも、5歳児クラスにも、あちこちにミュージカル俳優登場です。とくに最後列で、園長先生の隣にいた男の子はすっかり役に入り込み、歌って踊って、もうとっても嬉しそう…!あちこちで立ち上がり、歌に踊りに熱中する子供たちの様子に、大人たちも大笑いとなぜだか涙が止まらず。5分間の即席ミュージカル公演は、大成功でした。

アンコールとして、リクエストいただいた「あわてんぼうのサンタクロース」と、子供たちの賛美歌「忘れないで」を一緒に演奏すると、卒園生なのかお母さん方のなかにも、一緒に口ずさむ姿がありました。そして、コンサートのお返しにと、子供たちから後藤さん、菅野さんへ、「ありがとうの花」の歌と、カードのプレゼントをいただきました。

終演後も、お名残惜しく小山園長との楽しい話に花が咲きました。そのなかで、幼稚園での先生の一言がきっかけで、ピアニストになった菅野さんを前に、「子供のころの、親から、先生からの一言って、本当に大事なんだねぇ…」としみじみ仰る園長先生。また、帰り際まで何度も「あ~、今日まで、ほんっとに生きててよかった!」と静香さんとの再会を喜んでくださいました。また今日のコンサートをきっかけに、ピアニストになりたい!という子供さんが現れるかも、しれませんね。小山先生、まだまだお元気で、その、子供たちの成長を見守っていてくださいね。