お知らせ

恵風荘「懐かしのメロディー♪コンサート」

2017.11.29

メゾソプラノ後藤優子さんと、ピアノ菅野静香さんとの千厩・気仙沼「復興コンサート」ツアー、最後の公演は、気仙沼・牧沢にある特別養護老人ホーム 恵風荘に伺いました。

恵風荘は施設の老朽化に伴い、来年度いっぱいで閉園することが最近発表されました。そのような中でも、入居者のみなさんにひととき、音楽会を楽しんでもらえたらとの依頼に、できるだけ一緒に口ずさんでいただける曲を、と後藤さん、菅野さんにお願いし選曲していただきました。題して「懐かしのメロディーコンサート」です。

会場には、素敵なウェルカムボードが用意されていました。リハーサルを始めると、お部屋まで音が聴こえてしまったのか、ひとり、二人とホールに集まっていらっしゃる方が。

いざ開演時間には、ホールには60名あまりの方が集まっていました。「リンゴの唄」から始まったコンサートは「冬景色」「北風小僧の寒太郎」と唱歌・童謡の後「高原列車は行く」「恋のバカンス」と懐かしい曲が続きます。「恋のバカンス」では、菅野さんが後藤さんのメロディーに合わせてハモりを担当。姉妹デュオに負けない、息の合ったところを聴かせてくれました。

美空ひばり「愛燦燦」は、目を瞑ってしみじみと聴いていらっしゃる方が多数。「港町十三番地」「おいらの船は300トン」では、元気に手拍子をされる方があちこちに。車椅子に寄りかかって聴いていらしたおばあさまも、この曲ではご自分から手で拍子をとっていらっしゃいました。

最後は「北国の春」と「いつでも夢を」を皆さんと一緒に。気仙沼ではどこで演奏しても、みなさんほとんど歌詞をご存知なことの多い「北国の春」です。口ずさまれる方も多く、職員のみなさんも一緒になって歌ってくれました。外国人の介護士さんも、一緒になって歌っていらしたような…気仙沼でお年寄りと接するには、必須の歌なのかもしれません。

なかなか儘ならなくなった身体で、演奏を聴いた反応を示すことはできなくなっても、普段から接していらっしゃる職員さんには、入居者さんがどのくらい嬉しい気持ちになっているかがお分かりになるようでした。「指の先を音楽に合わせて動かしていたり、ずっと口を動かして歌っていたり、みなさん楽しんでいらっしゃいました」と言われ、同じとき、同じ場所で演奏し、演奏を聴く、というそのやりとりの中に、CDやラジオを掛けて聴いただけとは全く違う、目に見えないやりとりが確かにあることを感じました。

この恵風荘で、4公演全てが終了しました。幼稚園児から90代後半まで、本当に会場によって年代も背景も異なるみなさんに聴いていただいた今回でしたが、それぞれに喜んでいただけるようたくさんの曲を準備していただき、後藤さん、菅野さんの対応力の幅広さ、素晴らしさに改めて触れた旅となりました。恵風荘をご紹介いただきました、ムラカミサポートの村上さん、また千厩にも駆けつけてくださった気仙沼在住のボランティアカメラマン菊田さんにも、今回もまたお世話になり、ありがとうございました。