お知らせ
泉中央南「歌声サロン」_3月
- 2018.3.13
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仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、
泉中央南町内会と協働してこのサロンを運営しています。今年の極端な三寒四温ぶりには驚かされます。今日の午後はコートなしで出歩けるほどの暖かさとなりました。こういう時こそ油断せず体調管理をしたいものです。
さて、年度末の歌声サロンには28名の参加者が集まりました。暖かさに誘われてか久しぶりのお顔や初めましてのお顔が見えて、とても賑やか。音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんが登場すると「待ってました!」とばかりにさらに輪をかけて賑やかさが増しました。今日の設えは春を先取りして桜のデコレーションです。開花が待ち遠しいですね。
たっぷりしっかりウォーミングアップをして、まずは『どじょっこふなっこ』を歌いました。東北の民謡がもとになっているこの童謡はいっそう親しみの持てる歌です。「思うべな」「わらすこ」など方言の数々がしっくりきますね。童心に帰ったような元気な歌声が会場いっぱいに響きます。
試みに3チームに分けて輪唱してみました。みなさんは他のチームに引っ張られないように声を張るので、歌声がさらに高まります。声を重ねるとハーモニーが生まれて、後藤さんと田村さんが「うわ~面白い!」「すばらしい!」とみなさんに拍手を送りました。
続いては戦中の童謡『りんごのひとりごと』です。「あ~なつかしいこと~」と、どの方もすぐに歌えました。イチニ、イチニ、と体を左右に弾ませて歌う様子が少女のようで微笑ましいです。あるおじさまが隣の席の人に「あんだ、まだ生まれてねがったすぺ?」と話しかけていました。昭和は遠くなりにけり、ですねえ。
3曲目は『贈る言葉』です。卒業式シーズンの定番ですね。年齢層的にこの歌は通じるかしらと心配していたのですが、みなさん「うん、知ってる!」「歌う歌う!」とノリノリ。途中で拍子が変わったり、歌い出しに休符があったりとちょっとコツの要る歌ですが、田村さんが伴奏をゆっくりめにし、後藤さんの合図にあわせて一緒に歌いました。「もう届かない、贈る言葉」という歌詞はせつないですが、みなさんの脳裏には誰の姿が浮かんでいたのでしょうね。
ティータイムのミニコンサートでは、敗戦直後の童謡『鐘の鳴る丘』を身振り手振りを交えて朗らかに歌い、ドヴォルザークの『家路』ではしっとりとした二重唱を披露しました。アンコールは参加者からのリクエストに応えて、テレサ・テン『時の流れに身をまかせ』です。「これを聴くために今日は何が何でもと思って来たの!」と鼻息荒くしていた方がいました。そんなに喜んでいただけて私たちも嬉しいです。
最後に町内会からのサプライズがありました。今年度の締めということで「この一年も素敵な音楽で私たちを元気づけてくださってありがとう」と演奏家の二人に花束が手渡され、参加者の皆さんも満面の笑みと大きな拍手で演奏家に感謝の意を表していました。
お客さんのお見送りも一段と賑やかです。いろいろなことが思い出されでふと淋しくなる三月だからこそ、こんなふうに明るく楽しく過ごせるひとときが大事なんだなと感じました。春はもうすぐですね。