お知らせ
福島へ「福幸コンサート」を届けました
- 2018.3.14
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福島市社会福祉協議会では、福島第一原子力発電所の事故により福島市内への避難や移住を余儀なくされた福島県沿岸部の方々を対象とした交流サロン「てとて」を毎月2回開催しています。原発事故から7年、避難生活が長期化し、精神的・体力的なつらさを抱える人が多くある中で、このサロンでの交流が良い気晴らしや情報交換の場となり、参加者は毎回心待ちにしているそうです。
今日は「~明日へつなげよう~杜の福幸コンサート」と銘打ち、弦楽四重奏の演奏をお届けしました。出演は杜の弦楽四重奏団のみなさん(ヴァイオリン叶千春さん、ヴァイオリン駒込綾さん、ヴィオラ齋藤恭太さん、チェロ塚野淳一さん)です。齋藤さんと塚野さんは福島出身ということもあり、ご登場願いました。
春を通り越して初夏のような暖かさの今朝、会場の福島市音楽堂にはだいぶ早くから参加者がやって来て、ロビーでわくわくした様子で待っていました。「音楽がお好きな方が多いんですよ」を社会福祉協議会スタッフがおっしゃていた通りですね。早くからありがとうございます。
コンサートはバッハ『主よ、人の望みの喜びよ』で幕を開け、序盤ではヴィヴァルディやモーツァルトの弦楽四重奏曲などが披露されました。華麗で流麗な調べの数々が春の風や陽光を思わせます。およそ40名の参加者は弦楽のハーモニーにうっとりと聴き入っていました。
中盤では、がらりと雰囲気を変えて今度は日本のクラシックと言える民謡が演奏されました。岩手・宮城・福島を代表する民謡が、時に重厚に、時に哀切込めて、時に可愛らしく奏でられます。演奏家たちが掛け声や合いの手を入れると、客席から感嘆のどよめきが上がりました。
続きましてはこのカルテットの十八番、曲名当てクイズのコーナーです。塚野さんの進行はユーモアと毒舌がたっぷりで、お客さんはすっかり巻き込まれて大笑いしていました。当たってもはずれても楽しいものですね。季節の唱歌や懐かしの昭和歌謡、テレビドラマ主題歌などお客さんの年代にぴったりの選曲で、おなじみのメロディにみなさんほっとしたひとときを過ごしていた様子でした。
ここで、千春さんが言いました。「クラシック音楽だけをやってきた私たちがこのような日本の曲を演奏するようになったのは震災後です。民謡や唱歌など、それまで知らなかった曲の良さに気がつくことができました。そして、そのおかげでたくさんの人びととの出逢いがありました。これからも音楽をたくさんの人に届けたいと思います」
その言葉に客席から大きな拍手が沸きました。「頑張ってね!」と言っているような熱い拍手でした。
千春さんの言ったことは復興コンサートに参加する大勢の音楽家についてもあてはまることです。復興コンサートのために演歌や流行歌やその土地ゆかりの歌をレパートリーにしてくださっています。曲のジャンルは超えて「ともに音楽すること」の歓びを分かち合うことが復興コンサートの本質なのだと思います。
震災から7年が経過し、その傷痕は見えにくくなりました。俯瞰すればもう復興したように見えているかも知れません。が、復興コンサート活動を継続する中で、それでもまだ行くべきところはあり、音楽を届けたい相手はたくさんいることを実感しています。
最後はみんなで記念写真を撮りました。みなさんの明るい笑顔にコンサートを楽しんでいただけた様子がうかがえます。こちらのサロン「てとて」は新年度から回数を減らして継続する方向だそうです。どうぞまた呼んでくださいね!