お知らせ

通町「さあ春ですよコンサート」へ

2018.3.15

異常気象とも思える暖かさですが、コートなしで出歩ける身軽さが嬉しいです。今朝は仙台市青葉区の中心地にほど近い通町市営住宅へ伺いました。自治会が自主的に開催している住民の交流サロン「通町お茶会」へコンサートをお届けします。題して「さあ春ですよ♪コンサート」。
出演はヴァイオリン門脇和泉さんと古関楓さん、ピアノ石川祐介さんのトリオです。会場の集会所にはおよそ20名の方が集まりました。自治会の役員さんは「いつも来る人たち、今日は急に暖かくなったからお買い物に出かけちゃったみたいなの。ごめんなさいね」とすまなそうにしていましたが、どうぞお気になさらずに!
エルガー『愛の挨拶』に始まり、前半はパッヘルベル、モーツァルトなどよく親しまれたクラシック曲が演奏されました。いつもの集会所にヴァイオリンの調べが響くのは非日常的な光景かもしれませんね。演奏の手元をじっと見つめて聴く人、目を閉じて聴く人、体を揺らして聴く人など、参加者のみなさんはそれぞれに音楽を愉しんでいました。

石川さんはピアノソロでベートーヴェン『エリーゼのために』を演奏しました。日本人が大好きなこの曲ですが、実は曲名が『テレーズのために』だったのではないかという説があること、また、冒頭の有名なフレーズについて石川さんは「ベートーヴェンがうじうじしているためらいが感じられます」と解説しました。みなさんは「あ~」と納得した様子。歴史上の大作曲家がとても身近に感じられて、聴き慣れている曲もまたちがった趣で楽しめたようでした。

後半は日本の歌をメインとした構成でした。いきなり無言で弾き始めた或る曲にはみなさんだんだんと「あ!」「あれ!」「え~!」と気がつき始め、「まさか」と驚きの連鎖が起こりました。なんとテレビでおなじみ『笑点』のテーマ曲でした。和泉さんが「実はこれ、私が弾いてみたかったんです!」と言うと、そのおちゃっぴいな様子にやんやの拍手が沸きました。

『春が来た』は石川さんのリードで手遊びを交えながらみなさんに歌っていただきました(ピアノは和泉さんが担当です!)両手を交互に前に突き出し、どちらかをパー、もう片方はグーにするだけの簡単なワークですが、やってみると「あれれ?」と思い通りには行かず、あちこちで「あははは」と笑い声が湧きました。
春にちなんだ唱歌の数々が演奏される中、古関さんは留学先のハンガリーの思い出を話しました。
「ハンガリーの春と言うと、街じゅうに大きな綿毛が飛んで来て、カフェとかの外の席で食事するときには必死に防御しないと食べられないぐらいです」柳の綿毛なのでしょうか、とにかくそこいらじゅうにフワフワと浮いていて口の中にも入って来るほどなのだそうです。みなさん「へえ~」と興味深げに聞いていました。
あっという間に時間は過ぎて、コンサートはお開きとなりました。終演後のお茶会には演奏家も参加して和気藹々としたひとときをともに過ごしました。

「バイオリン屋さん!あのね・・・」と、和泉さんに質問するおじさま、おばあちゃんと孫娘のように古関さんと親しく話し込んでいるおばさまたち。そちこちでおしゃべりの花が咲きます。
ある方がふと「目を閉じて聴こうとすると津波が浮かんでくるんだよね・・・」と言いました。福島の沿岸部で津波に遭ったそうです。命からがら避難し、その後奥さんと連絡が取れるまでにどれだけ心配だったかと、震災当日のことを語りました。3月はいろんなことが思い出されます。つらい思い出もこうして誰かに話すことで、もしかするとだんだんと手離していけるようになるのではないでしょうか。
大きな拍手とたくさんの笑顔に見送られて演奏家は会場を後にしました。「また来てね!」「絶対だよ!」「待ってるから!」と熱烈コールが別れを惜しむ紙吹雪のように降り注いでいました。