お知らせ

みやぎの「花は咲く」合唱団_4月

2018.4.11

≪みやぎの「花は咲く」合唱団≫
かつて宮城野区の仮設住宅にお住まいだった方や津波被災地域にお住まいの
おおむね60歳以上の方々と毎月1回合唱の練習をしています。
2013年10月から続いている活動です。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

仙台の街なかは満開の桜に彩られています。みやぎの「花は咲く」合唱団は気分も新たに新年度を迎えました。今年度も講師のソプラノ齋藤翠さんとピアノ目々澤亜紀さんとともに、楽しく、志も高く歌っていきましょう!

当面の課題曲は、フォークソングの『風』、おなじみ『花は咲く』、ご当地ソング『青葉城恋唄』の3曲です。合唱団設立当初からずっと歌い続けている『花は咲く』ですが、今年は二部合唱に挑戦します。新しい楽譜を渡すと、「え…ハモるの?」とメンバー間にざわめきが起きました。期待と不安の入り混じったざわざわ感です。大丈夫ですよ!絶対にできるようになりますから!
アルトとソプラノが主旋律とハーモニーの役割を交代して歌うアレンジになっていて、お互いに掛け合いをしているような雰囲気があります。いままで主旋律のユニゾンで歌ってきたので、初めて聞く音型に動揺が走ります。数小節ごとに細かく分けて何度も繰り返して練習しますと、なんとなく音程がつかめてきたようです。

「今日は細かいこと言いませんから、思い切ってハモってみましょう」と翠さんが言うと、どっと笑いが起きました。今日は初回ですからできなくて当然です。皆さん安心した様子でチャレンジしました。そうっと自信なさげな小さな声ではありましたが、歌声の重なりがふわっとやさしく綺麗に鳴って、皆さん「わあ…!」「あら、いいねえ!」とご満悦の様子。ハーモニーをつくることがどんどん面白くなっているみたいです。合唱団ならではの楽しみですよね。自分たちのテーマ曲のようにして歌ってきた『花は咲く』がこれまでと違う表情を見せてくれたようで、メンバーの目は意欲に満ちてキラキラしてきました。いいですね!

『青葉城恋唄』はこの仙台で長らく愛されている美しい歌です。が、震災後は演奏することを躊躇した曲でもあります。歌の最後に「あのひとはもういない」とある歌詞がつらく感じる時期が長くありました。今回、この曲に挑むのはメンバーからのリクエストがあったからなのですが、事務局としてはメンバーの中に拒否反応を示す人がいるのではないかとの懸念がありました。しかし、それは杞憂に終わったようです。この歌をメンバー全員が歌っている姿を見て、震災の経験と適切な距離感が取れるようになってきたんだなあと感じました。
耳にするのもつらかった歌が、やがて受け容れられるようになり、今は自分から歌って、遠くなった人たちへ思いを伝えようとするという変化は、かなりの大転換だと思います。時は人の心を解くというのは本当だなとつくづく感じました。

新曲3つの楽譜を抱えて「じゃあまた来月ね!」とみなさん明るい表情で帰って行きました。初めての音取り作業で頭脳もフル回転したせいか、爽快な疲労感があったようです。ハモリはなかなか手ごわいですが、その困難を乗り越える楽しみも同時にありますよね。今日の練習の成果を次回まで忘れないように、自主練習もたまにはやってみてくださいね!