お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_5月

2018.5.18

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として
この住宅とその周辺にお住まいの方々の交流の場「うたカフェ」を
2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、
音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

数日前の夏日から一転、肌寒い雨の日となりました。そぼ降る雨の中で新緑や花々は一段と冴え冴えとした色彩を見せています。雨にも負けず22名の参加者が集まりました。こんな日こそ大きな声で歌ってジメジメを吹き飛ばそうではありませんか!
さて、今日も音楽リーダーは仙台オペラ協会の松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ伴奏は富樫範子さんです。脚を回したり大きく伸びをしたり、ゆっくりとウォーミングアップをしたあと、「今日は、前回やり残した人生をやります!」と、布施明『マイ・ウェイ』、美空ひばり『川の流れのように』『人生一路』に取り掛かりました。
歌詞を音読し、その意味を考えて、表現に結び付けていきます。『マイ・ウェイ』について松本さんは「語るような」部分と「歌い上げるような」部分の配分を解説しました。「ここはご自分の人生を反映させて語ってみてください」「自分を第三者として励ますように」「ここは思いの丈を存分に乗せて歌いましょう」などのアドバイスを受けて、みなさんはそれぞれのマイ・ウェイを脳裏に浮かべて歌っていたようです。
『川の流れのように』は多くの人に愛される歌ですが、音域が広く、歌うとなるとなかなか手ごわいところがあります。「この歌は独特の抜け感があり、力んでいないところが魅力だと思います」と言う松本さんは、面白い提案をしました。サビの部分を歌うときに両手を合わせてこすり、そのあと両腕を大きく回し、そして腕を左右に波のように揺らし、最後は腕を上げて空を仰ぐというものです。客席から「えええ~!?」と、とまどいのどよめきが起こりました。いざやってみると、背すじが伸び胸筋が開いて気持ちが良いものです。振付に意識が取られるためか、のどのあたりの力みが取れて、歌声がそれこそ川の流れのように滔々と出てくるようにも感じられました。

しかし、歌って踊るのはけっこうな運動量になりますね。「はあ疲れた~」と誰かが言うと、みなさんどっと笑って清々しそうでした。
最後は前回歌いきれなかった『人生一路』に再チャレンジ。さきほどの踊りの効果でしょうか、声がよく出ていました。岩瀬さんは「ここのこぶしをがんばってみましょう」「低音から高音へジャンプするには、低音をしっかり歌うことが大切ですよ」と助言をしました。岩瀬さんは子供の頃から歌が上手だったので、周囲の大人たちに「将来は美空ひばりになるのかな?」と言われていたそうです。「でも、まったく違う方向へ進んでしまいました」と人生を振り返る岩瀬さんですが、今こうして美空ひばりの歌をうたっているのも何かの縁なのかもしれませんね。
喫茶ひこのマスター西垣さんが淹れるコーヒーは毎回好評なのですが、今日の肌寒さと運動量のおかげか、おかわりを求める人がたくさんいました。コーヒーを味わいながらのミニコンサートでは岩瀬さんが美空ひばり『リンゴ追分』を、松本さんが宝塚歌劇団のナンバー『イル・モンド』を熱唱し、ため息と大喝采が沸きました。その拍手に「これで人生に思い残すことはありません…」と松本さんが言い、また大きな笑いが起こりました。おあとがよろしいようで。
「ああ今日も楽しかったです~」「また来月ね!」とたくさんの笑顔とともにお声をいただきました。みなさん風邪引かないように、次回もどうぞお元気でいらしてくださいね。