お知らせ

荒井東「うたごえサロン」_6月

2018.6.12

仙台市若林区にある復興公営住宅の町内会からの依頼で
2018年4月から「うたごえサロン」を荒井東市営住宅にお届けしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

仙台も梅雨入りし、空気は肌にひんやりと、頭上には重苦しいほどの厚い雲がかかっています。が、そんな天気を気にするでもなく会場前の広場ではゲートボールに興じる人たちの姿がありました。のどかな光景ですねえ。
さて、第3回となる「うたごえサロン」、今日も音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんがはつらつと登場しました。田村さんが用意したあじさいの設えに「あら素敵だこと~」と感心するおばあさまがいました。

さあ、恒例の準備体操をして、今月の課題曲をみんなで歌います。本日のプログラムは昭和20年代、40年代、50年代の懐メロでした。「歌は世につれ」と言いますが、歌は往時の思い出を喚起させるんですね。歌にまつわる思い出話をしてくださる方がいて、それを聞いた周りの人からもまた話が出てきます。ここのサロンはこぢんまりとしていますが歌への反応が大きく、かつ積極的にお話ししてくださるので、賑やかな雰囲気なのが特徴です。
「この歌ね、私の弟が娘の結婚式で歌ったのよ」
「これは初恋の人が僕におしえてくれた歌なんだよ。あの頃はね・・・」
思い出を語るときの表情はとてもイキイキとしていました。大袈裟な言い方かもしれませんが、生きてきた証を歌で確かめているようにも思えます。

「いやぁ久しぶりに歌ったなぁ」「いい歌だねぇ」
旋律に乗って体を揺らしたり、足でぱたぱたリズムを刻んだり、音楽は直接的にからだに作用することが傍で見ていてよくわかります。ある方が隣の方を指さして「この人ね、他の集まりには一切顔出さない人なのよぉ!でもこれだけには来るのよね!」とおしえてくださいました。その方は「…歌が好きなのね。ほんとにこれが楽しみで」と伏し目がちに微笑みました。うたごえサロンを開催する目的の一つに「高齢者の引きこもりを減らす」ということがあるのですが、まさにそれが達成されていて、スタッフ一同うれしく思いました。

終盤の講師ミニコンサートではジューン・ブライドにちなんで昭和のポップス『花嫁』が演奏されました。すると、客席から自然に手拍子が湧いてきて、ほのぼのとした盛り上がりを見せていました。また、後藤さんがイタリア語でオペラアリアを披露すると、堂々たる声量に「ブラボー!」という声が上がりました。

お見送りの時にはいつもリクエスト曲を伺うのですが、今日は「何か振り付きの歌はないの?」と両手をひらひら動かして見せる方がいました。足が不自由そうな方でしたが、踊りがお好きなようにお見受けしました。なるほど、良いアイディアを頂戴しました!いずれ反映させたいと思います。それではまた来月。