お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_6月

2018.6.19

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、
泉中央南町内会と協働してこのサロンを運営しています。

梅雨らしいどんよりとした空模様の今朝でしたが、会場では町内会の役員さんたちが「今日もよろしくね」と明るく出迎えてくださいました。
準備をしているところへ或る常連さんがやって来て、「少しばかりだけど食べてね」とほかほかの卵焼きと手づくりの漬物を手渡されました。「味見もしないであわてて作ったからさ、味の保証はしないよ」と照れ笑い。お昼どきにリハーサルしている私たちへの温かいお気遣いでした。食べてみると、しっかり甘いタイプの卵焼きで、実家に帰ったような懐かしさを感じました。また別の方は何も言わずにっこりと袋を置いていきました。中にはみかんとトマトがたくさん入っていました。みなさんの優しさが身に染みますね。ありがとうございます!
さて、今日も音楽リーダーはメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんが担当します。目映いビタミンカラーの後藤さんと颯爽とした紺色の田村さん、毎回楽曲のみならず衣装や飾りつけにも「みなさんに元気を!」という気持ちが表れています。みなさんも待ってましたとばかりにお二人を拍手で迎えました。

 

いつもお見掛けしない男性の姿がありました。「ええっ!Sさん!」「あら!珍しいこと」と周りの人たちに驚かれている様子。話によると「あの人ね、めったにこういう場には出てこない人なのよ」とのことでした。初めての参加でしたが、お一人ながら伸び伸びと歌うことを楽しんでいたので私たちも安心しました。今後もよろしくお願いします。

 

今日の課題曲の中には6月の結婚式シーズンにちなみ、長渕剛『乾杯』がありました。もしや世代がちがうかなと心配もありましたが、ほとんどの方が朗々とした大きな声で歌っていました。これも世代を超えた名曲の一つなんですね。ここにいる大多数のは震災で故郷を離れざるを得なかった人たちです。「故郷の友はいまでも君の心の中にいますか」という歌詞は一段と響くものかもしれません。「君に幸せあれ」という切なる願いは、大切な誰かへの、そして自分自身へのエールなのかもしれません。

ティータイムのミニコンサートでは古今東西の曲が演奏されました。後藤さんは女性ながら松崎しげる『愛のメモリー』を大胆に歌い上げ、盛んな拍手と「ブラボー!」を浴びました。ある人が「この歌がこんなふうになるなんてねえ…」と感動した様子で演奏家に話していました。

サロンが終わり、参加者の中で最年長と思われるご婦人が手すりを頼りにゆっくりと歩いてきました。田村さんは「いつもありがとうございます。会うたびに元気になってるみたい。お肌がつやつやしてきてますよ」と話しかけると、「あら!そうお?うれしいわあ」と笑顔になりました。その様子を見たまわりの人たちも「ほんとそうよ」とうなずいていました。

歌声サロンを始めて2年半、参加者と演奏家のあいだには阿吽の呼吸が生まれ、お互いの変化がわかるようなおなじみさんになってきました。継続は力なりですね。