お知らせ
気仙沼②「どんぐり山 夏の沢っこ音楽会」
- 2018.7.27
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鹿折川に沿って上流に上ったところに、中才(なかさい)地区があります。鹿折川は中流域まで津波ががれきを伴って遡り、大変な被害のあった地域です。中才地区は、さらに上流にあるため大きな被害を免れ、多くの家を失った方たちを集会所に、また自宅に受入れるなど、支援する側に回った地区でした。その後、20世帯近くが新しく転入してきたこともあり、昔からの住民と新しい住民とが一緒になって音楽を楽しむ機会が持てたら、と西中才振興会から相談をいただき、今回の西中才振興会館「あんしん」でのコンサートが実現しました。
素敵なタイトルは、窓口となったKさんが考えてくださいました。どんぐり山は、この地区の子どもたちなら、今も昔も必ず遊びに行っている集落の山の手にある山の通称。そして、地区には3つの沢が流れているのだそうです。この西中才地区をイメージするのに、ぴったりのタイトルとなりました。そして会場に到着すると、窓にはお祭りの法被や団扇が見えます。Kさんともうお一人の方とで、前の日から会場の飾りつけを用意してくださいました。いつもと違う集会所の雰囲気は、不思議と心がわくわくしてきます。ところが、開演が近づいても10人ほどのお客様…まずは、時間通りに始めてみることにしました。
お二人のドレス姿に歓声が上がり、1曲目はAKB「365日の紙飛行機」から。まだ少し恥ずかしそうな子どもたちでしたが、知っている曲からの始まりで、少しほっとした様子です。その後はリクエストをいただいた懐かしい童謡・唱歌をを4曲。ご年配の方達が、懐かしそうに目を閉じて聴いていらっしゃいます。この頃になると、用意した椅子も半分以上が埋まってきていました。再び子どもたちの大好きな「夢を叶えてドラえもん」「ひまわりの約束」「さんぽ」と続くと、次第に調子づいてきたのか、一緒に大きな声で歌ってくれる子たちが。つづくシンセサイザーのソロは久石譲「summer」。なんと蝉の鳴き声してきたり、花火の音がしたり、オーケストラのようだったり…シンセサイザーだからこそできる、まるで映画を観ているようなアレンジを、菅野さんが仕込んでくれていました。
そして後半は、夏らしく元気に、懐かしい「恋のバカンス」「あの素晴らしい愛をもう一度」。「あの素晴らしい愛をもう一度」は意外や意外、小学生たちが「知ってる!」と。朝の連続ドラマ小説の中で歌われているのを聞いて、すっかり覚えてしまったのだそうです。これまた大きな歌声に、子どもたちの周りの大人も、一緒についつい笑顔に。実は時間を見ながら、ここで本編を終了にしようかとも考えていたのですが、この頃になってから到着された方も何人か…。それならばと後藤さんの判断で、予定どおり最後に「川の流れのように」を。盛大な拍手をいただいて、アンコールにはリクエストをいただいた「北国の春」と「おいらの船は300トン」を。「北国の春」では、“ようやく、出番がきたかな”と言わんばかりに姿勢を正す男性のみなさまの様子に、後藤さん菅野さんも“おや?!”と気付きます。前奏が始まると、見事ないいお声が聴こえてきました。「おいらの船は300トン」は、昔、気仙沼の結婚式では、必ずと言っていいほど、最後に皆で手拍子をしながら歌った歌なのだそうです。遠洋漁業の船の仕事に関わる方の多い港町だからこその、気風の良さを感じました。
終わってから、西中才振興会の会長さんよりご挨拶をいただきました。「この会館が出来て随分経ちますが、こんなプロの方が来てコンサートをしてくださるなんてことは、初めてでした。素晴らしい歌声を聴かせていただいて、本当にありがとうございました」。私たちも微力ながら、新しいコミュニティの一助となれましたら、本当にありがたいことでした。4世代家族が多いという西中才地区、本当に様々な年代の方が来てくださり、一緒に楽しんでいただけたことはなんとも嬉しいことでした。コンサートは、終わってみれば40名を超える方が詰めかけてくださいました。
終演後、みなさんをお見送りしていただいた後藤さんと菅野さんの元に、たくさん一緒に歌ってくれた3人組。実は、まだまだ歌い足りなかったと見え、気が付くと玄関で「365日の紙飛行機」を後藤さんと菅野さんと共に大合唱!片付ける大人たちの、賑やかなBGMとなりました。
今回のコンサートは、後藤さん菅野さんが前回訪問したすがとよ酒店でのコンサートに、西中才振興会のKさんが観に来てくださったことがきっかけでした。ひとつの公演が、次の公演の種まきになる、本当に嬉しいバトンリレーとなりました。終演後に、“シンデレラ”のような婦人部のみなさんが用意してくださったそうめんやKさんお手製のお漬物をいただき、皆さんから生の感想をいただくこともできました。ご縁に感謝の1日となりました。