お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_9月

2018.9.21

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

めっきり涼しくなりました。小雨模様でしたが、参加者が早々とやって来て「あら、こんにちは」「どうもね」とおしゃべりに興じています。「友だちに誘われたの」とご新規さんもいらして、だいぶ賑やかです。みなさんがこの会を本当に楽しみにしていることがわかります。
今日も音楽リーダーは仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ伴奏は富樫範子さんです。いつもはのんびりと準備体操で始まるうたカフェですが、松本さんが「今日はまず最初に、みなさんに私の本気を聴いていただきたいと思います…どうぞ聴いてください」と改まった様子で言いました。参加者は何事かと固唾をのんで見守ります。
聞いたことのあるようなイントロで始まった歌は「白玉~あんみつ、きなこもち~」と美味しいもの尽くしの『北国の春』替え歌でした。
きっちり3番まで「食べ過ぎ飲み過ぎで健康診断に引っかかった」みたいな内容になっていて、みなさん手ばたきしながらの大爆笑。朗々とした見事な歌いぶりがさらに笑いを誘い、涙を拭いてる人もいます。いやはや、松本さん全力のサプライズソングにみなさん大喜び。体操をしなくてもすっかり体がほぐれたようでしたよ。食欲の秋、おたがい気を付けましょうね。

今日のプログラムは懐かしのシャンソン特集です。まずは越路吹雪『愛の讃歌』を歌いました。松本さんが「情熱と愛にひたりきってください」と言うと、だいたいの方は「えへへ」と照れ笑いした様子でしたが、いざ歌い出すとこれがすごい声量で、もしやこの歌はみなさんの十八番なのかしらと思うぐらいに歌いこなしているのです!すばらしい!「せっかくですから…」とシャンソン特有のぼそぼそと語りかけるような歌い方を練習し、さらに気分は盛り上がりました。

続く『サン・トワ・マミー』も「失恋を悲しむ歌でなく、むしろ強気な女で歌ってみましょう」と、岩瀬さんのリードで歌いました。三連符が随所に登場して歌いにくいところを練習し、最後のフレーズは気分を出して甘やかにやさしくささやくように歌いました。「フランスはあまりに遠し」と昔の詩人は言いましたが、今日の田子西はすっかりパリ気分(?)、歌っているみなさんの顔が輝いて見えました。

さて、コーヒータイムでは喫茶ひこのマスター西垣さんが淹れたてのコーヒーを提供します。今日はのっけから大笑いし、感情こめて歌ったせいか、いつもよりコーヒーの消費量が多くなったようですよ。用意したポットがすっかり空になっていました。秋になるとコーヒーが一段と美味しく感じますよね。
最後のミニコンサートでは二重唱のタンゴや独唱のアペラアリアが披露されました。松本さんはオペレッタ「メリー・ウィドウ」の中から男性が歌う『おお、祖国よ』を歌いました。勇ましくうたいながら跪いて最前列のご婦人たちに手を差し伸べると、それぞれの人が見せるリアクションに客席から笑いが起こっていました。

冒頭からの大爆笑に続き、笑いっぱなしのうたカフェでした。笑いは免疫力を高めるという説もあります。季節の変わり目を元気に乗り切りましょう。それではまた来月!