お知らせ

大和町「歌声ひろば」_10月

2018.10.14

仙台市若林区・大和町市営住宅(災害公営住宅)の集会所にて、6月に続き2回目の「歌声ひろば」開催です。朝晩は、マフラーが欲しいくらいに冷え込んできた仙台。今日は時間が進んでも気温がなかなか上がりません。部屋を暖めながら準備していると、「自転車、どこに停めるといいかしら?」。市営住宅の自治会長さんが、ご近所の町内会集会所にもチラシを貼ってくださり、それを見て、今日初めて来てみた、という方々でした。災害公営住宅が建って、この町の住人となったみなさんと、元々ここに住んでいらした皆さんとが、交流を図る場にもなれたら…と思いますので、こういった参加は大歓迎です。そうこうしているうちに、20名近くのみなさんが集まってくださいました。

大和町「歌声ひろば」の音楽リーダーは、ソプラノの都築紘子さんと、ピアノの山形佑輔さんです。演奏もMCも息のぴったりあったお二人。「まずは歌う前に、身体を少しずつほぐしていきましょう~!」と都築さんの元気な声。始めのストレッチから、笑いが溢れる和やかな会となりました。両手を合わせて、頭の上に持っていき背中を伸ばします。なかなか背伸びをすることも、日常の中ではなくなっているのではないでしょうか?あちこちから「うーん!」「んんんんん…」と、気持ちよさそうに色んな声が聞こえてきます。今度は、足を下の方からトントントンと叩いていきます。座ったままできる体操でも、体は少しずつぽかぽかとしてきました。発声練習も教えてもらいながら、「息を吸う時は、肋骨を広げるようなイメージで、大きな樽のように、息を吸い込んでみてください~」。都築さんのアドバイスは、具体的なイメージが掴みやすく、みなさんもすぐに挑戦。言われる前とは、息を吸って拡がる部分が変わった方が何人もいらっしゃいました。「あ~え~い~お~う~」と、それぞれの母音を確認する発声練習で仕上げです。

続いて、「もみじ」の歌詞を、みんなで読んでみました。漢字も含まれた歌詞を読むと、どんな情景を歌っているのかを、改めて思い描くことができました。「では、歌ってみましょう~!」みなさん、いいお声です。今日は会長さんはじめ男性の参加者も多く、またその男性のみなさんも、臆せず声を出して下さって、女性の声と混ざって程よい混声合唱になりました。「この歌の醍醐味は、輪唱できるところですね。二手に分かれて、追いかけっこしてみましょう」
ピアノの山形さんと、都築さんで、一度お手本を聴かせてくださった後、みんなで挑戦です。「あ~きのゆう~ひ~に~♪」「あ~きのゆう~ひ~に~♫」。ハーモニーが生まれると、ぐんと音楽の幅が拡がった気がしました。

合間には「みなさん、もうちょっと可愛い顔で歌いましょう~!」「椅子の背もたれは、お手伝いさんが引くためのものですので、寄りかかるのではなく、もう少し前に、姿勢良く座ってみましょうか…遠くに夕焼け空を見るように…」「そうそう!みなさん、途端に姿勢が良くなりましたよ!」。都築さんの、ユーモアのある、ちょっとした楽しいアドバイスで、より、声が気持ちよく出せるようになっていくようです。
「遠くへ行きたい」「村祭り」と続き、お祭りの太鼓の音には、足踏みをして効果音を入れて、お祭り気分を加え楽しく歌います。「赤とんぼ」では、最後の4番の歌詞の終わり「止まっているよ 竿の先」を、丁寧に、情景を思って歌うことを心掛けました。何度か繰り返してみると、最後には、ぴったりとみなさんの歌声が揃いました。短い曲を4曲でしたが、随分とたくさん歌を歌った時のように、体がぽかぽかしています。また、どの方も、たくさん歌うと同時に、たくさん笑って、頬も緩んでいい表情です。

この辺りで、ひと呼吸、飲みものが配られてひと休み。そして、都築さん、山形さんによるミニコンサートの時間です。今日は、レオンカヴァッロ「朝の歌(マッティナータ)」から。マッティナータというのは、夜の歌=セレナーデに対して朝の歌で、思いを寄せる女性の、部屋の窓の下から「愛しい人よ、目を覚まして、その美しいお顔を見せておくれ!」と歌っている、愛の歌なのだそうです。日曜の午前中に開催する「歌声ひろば」には、ぴったりの曲だったかもしれません。美しい、また声量豊かな都築さんの声に、みなさん聴き入っていらした様子でした。
続いては素敵なピアノ伴奏のついた「七つの子」、そして秋らしい「落葉松」をしっとりと時に激しく、聴かせてくださいました。これで最後のはずでしたが…「アンコール!」の拍手に応えて、プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」。「…歩くかもしれません…」の予言どおり客席の後ろに周り、お一人の”お父さん”の前に跪いて“お願い!お父さん、私をあの人と結婚させて!”客席のみなさんからは、どっと笑いが溢れました。突然にオペラの舞台上に様変わりした、集会室での出来事でした。

ありがたいことに、その場で、皆さんから「また、ぜひ来てほしい!」とのお声をいただき、次回は1月に決まりました。決して上手に歌うことが目的ではなく、上手でも、下手でも、一緒にみんなで声を出して、体をぽかぽかにして、ひととき音楽リーダーの素敵な演奏に耳を傾けましょう、という会です。まだ参加したことのない、住民の方にも、足を運んでいただけるといいな、と願って、冬の「歌声ひろば」も楽しみにしたいと思います。