お知らせ

釜石・宝樹寺「夏休みこどもコンサート」

2018.8.9

台風の影響で、様々な市の催しが中止・延期と、朝から防災無線が伝える中で、今回のツアー最終公演は、釜石市役所隣りの宝樹寺本堂にて「夏休みこどもコンサート」です。

向かいにあるかまいしこども園の年長組の子ども達が、みんなで聴きに来てくれました。また、お盆の前という忙しい時期でしたが、檀家さんや、偶然山形市から釜石に来ていて、チラシを見かけたという方など、雨の中でしたが、響きの良い宝樹寺の本堂で、ヴァイオリンとグランドピアノの音色を楽しむ、贅沢なモーニングコンサートとなりました。

子供さん達の人数が、多くなかったこともあり、ピアノのソロでは指が動くのが見えた方が、楽しいのでは?とみんなでピアノ寄りに移動。ショパン「小犬のワルツ」で、びっくりするくらいに速く動くモンニンガーさんの指の動きに、やはりみんな目が釘付けでした。元気いっぱいで、賑やかな子ども達には、「さんぽ」と「おばけなんてないさ」を一緒に歌ってもらいました。ヴァイオリンと一緒に歌う、というなかなかない経験。ノリの良いピアノの伴奏に、大きな声で歌ってくれた子ども達でした。

秋田出身の駒込さんが、郷土の作曲家としても、純粋に曲の素晴らしさに惹かれてという意味でも、ぜひ演奏したいとお話されたのが、成田為三「浜辺の歌」。この曲は、会場のみなさんにも、一緒に歌っていただきました。2013年に初めて宝樹寺に伺った際、「私たち、海のことは、やっぱり嫌いになれないの。だから『浜辺の歌』も、ぜひ演奏してほしい」と話して下さった根浜・宝来館の女将さんのことを思い出しました。また、今回の岩手・三陸ツアーのために、駒込さん、モンニンガーさんが“岩手らしい曲を”と準備してくださったのは、宮沢賢治の「星めぐりの歌」でした。こちらもピアノの音色が、空高く輝く星々のきらめきのような前奏から始まり、岩手にゆかりの、というだけなく、どことなく鎮魂の思いも込められた曲のように聴こえました。

3日間の締めくくりは、かまいしこども園の子ども達とのハイタッチでお別れとなりました。まだまだ、復興途上にある大槌町、そこに新しくできたばかりのおしゃっち、そして、三陸園や宝樹寺に聴きに来てくれた震災後に生まれた子ども達の元気さ。演奏家のお二人も、初めての大槌・釜石訪問の今回、被災地の現在を目の前に、また、そこに現在暮らすみなさんとのふれあいの中で、本当にたくさんのことを感じ、受取り、自分たちに今できることはなんだろう、と考えながら、演奏を届けてくださった時間でした。そして「また、一緒に、大槌・釜石に演奏に来たい」と最後にお二人ともがお話しくださったことが、本当に何よりのことだったかと思います。

心配された台風は、太平洋沿岸を上陸せずに北上し、心配された風雨も、そこまで強くなる前に、それぞれ、花巻・山形へと帰途につくことができました。3日間のツアー中、足をお運びいただいたみなさん、また、各会場でお力添えをいただいた多くのみなさんに、改めて感謝申し上げます。