お知らせ

荒井東「うたごえサロン」_1月

2019.1.22

仙台市若林区にある復興公営住宅である荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から「うたごえサロン」をお届けしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

新春最初の「うたごえサロン」は凧と冬の花の飾りつけから仕度が始まりました。もちろんこれも音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんが持参したものです。今日の課題曲に唱歌『たこのうた』があるため、正月気分カムバックの設えとなりました。来場した参加者は「あら、凧だ」と目を留め、「最近見なくなったねえ」と懐かしがっていました。

「もう何十年も前だけど、子供が小さかった頃は家の屋上から凧揚げしてたの」
「手もとの糸がなくなって、凧が見えなくなるくらい高く揚げたなぁ」
「ヤッコ凧は形が複雑だから揚げるの難しいんだよ、くるくる回っちゃってね」
「風が強い時は裏側の引っ張りを強くして曲げるといいんだ」
女性からも男性からも凧にまつわる思い出話が次々に出てきて、語る表情はとてもいきいきしていました。歌うと、「あぁ、何十年ぶりで歌った~」「2番があるなんて知らなかった!」とさまざまな反応がありました。

細川たかしのヒット曲『北酒場』では1番を男性だけが歌い、2番をみんなで歌いました。歌うときはちょっと恥ずかしそうだった男性チームですが「これは札幌かねえ」「ススキノだな」と盛り上がりはじめ、ある一人が歌詞をつくづくと読んで「女の人にタバコに火をつけてもらうとさ、まつげと眉毛が焦げるんだよね」と言いました。周りのご婦人方が「ええー?」と驚くと、「いやほんとだよ、だからオレ若い頃はまつげなかったもん」とけろりとしていました。あはははとみんなで大笑い。今日は歌からいろいろな思い出話が飛び出してきて、いつも以上に愉快なサロンでした。

終盤のミニコンサートでは「みなさんの初夢はどんな夢でしたか?」と、後藤さんと田村さんは息の合ったハーモニーで『夢路より』を演奏しました。貧困や病苦など多くの困難を抱えたフォスターが人生最後に書いた曲だそうですが、そのやさしい調べに参加者はうっとりと耳を傾けていました。この歌のように、安らかでおだやかな一年になりますように。今年もよろしくお願いします。