お知らせ

名取「ふれあいハーモニーコンサート」

2019.3.14

名取市サポートセンターどっと.なとりは2012年からみなし仮設にお住まいの方や在宅避難者の支援を行なってきました。避難により散り散りになった方々のために交流の拠点となるよう常設のサロンを名取市と仙台市の6か所に設置し、運営してきました。震災から8年が過ぎ、この春からはサロンを2か所に集約することとなりました。今日はその締めのイベントとなる「ごちゃまぜ大交流会」です。各サロン利用者が一堂に会し、これからに向けてさらに交流を深めようというものです。

会場の名取市文化会館は震災直後から長いこと避難所になっていたところです。今こうして音楽を楽しめるようになったことは感慨深いものがあります。壁にはこれまでのサロン活動の思い出の写真がたくさん貼られていて、参加者のみなさんはあれこれと指差しては懐かしそうに眺めていました。
さて、本日の出演はソプラノ小野綾子さん、オーボエ後藤美幸さん、ピアノ髙橋侑子さんのトリオです。

小野さんは震災直後、音楽をすることに戸惑いを感じていたそうです。そんな中でどっと.なとりの常設サロンでの復興コンサートに参加する機会があり、「そのときのみなさんの笑顔に元気をいただきました」と4年半前を振り返りました。
髙橋さんは「この文化会館がまだ避難所だったころに演奏させていただきました」と当時の思い出を話しました。

イタリアや日本の歌曲が多く披露され、プログラムの最後は花づくしでした。『花の街』『花』をみんなで一緒に歌い、アンコールでは『すべての人の心に花を』が演奏されました。「泣きなさい、笑いなさい」という印象的なリフレインは多くの方が口ずさんでいて、特に男性客が感極まっている様子でした。

大きな拍手の中で終演となりました。演奏の御礼にと或る男性から折り紙の花が演奏家に贈られました。
今回初めて復興コンサートに参加した後藤さんは「最初はとても緊張したけれど、温かい雰囲気の中で楽しく演奏することができました」とほっとした笑顔を見せていました。
終演後は盛大にお茶のみ会が行なわれ、時間の都合で残念ながら参加できなかった演奏家が別れの挨拶をすると、おばさま方が次々とやってきては「ありがとね」「これ食べさい!」と演奏家の手にお菓子を握らせていました。親戚の家に行ったときのようですね。「また来てねー!」の大合唱に送られながら演奏家は笑顔で手を振り、応えていました。
名取市はようやくこの5月に町びらきをする運びとなったそうです。節目の春が来ました。ハード面の整備が一段落し、これからがコミュニティづくりが本格化してゆくことと思います。お互い助け合える住みよい町になりますように。