お知らせ

支倉町サロンへ

2019.3.29

西本願寺東北教区ボランティアセンターは東日本大震災直後からさまざまな支援活動を展開しています。その一環として、被災各地から仙台市中心部に避難してきた方々のための交流の場として「支倉サロン」と2013年から定期的に開いています。復興センターではそのサロンに年に一度、復興コンサートをお届けしています。今日は「春の調べ♪ぽっかぽかコンサート」と銘打ち、仙台フィルめんばーによる弦楽四重奏団のカルテット・フィデス(ヴァイオリン松山古流さん、ヴァイオリン熊谷洋子さん、ヴィオラ御供和江さん、チェロ石井忠彦さん)が出演しました。

まずはご挨拶代わりに『ラ・クンパルシータ』が演奏されました。クールで小気味よいタンゴのリズムがワクワク感を高めます。もしかして若い頃に踊った人もいるかもしれませんね。

仙台フィルの中でもトークの上手さで定評のある御供さんの進行でコンサートは進みます。「8割はオーケストラの演奏で真面目な私たちですが、今日は残り2割のおちゃめな部分を楽しんでいただければと思います!」と言うと、会場の空気がふわっと解けて和らぎました。結成18年を数えるカルテット・フィデスは演奏でもトークでも息がぴったり。おちゃめすぎてその後はたびたび爆笑が沸いていました。
プログラムはバッハやヴィヴァルディなどのクラシック曲、タンゴ、日本の歌謡曲などで構成されています。復興コンサートの現場では何度も演奏してきた『G線上のアリア』について「温かいやさしい調べをお楽しみください」と御供さんは言いました。
そして「クラシック音楽は歌詞がないからこそ、聴く人によっていろいろな受け止め方ができます。きっとみなさんにもそっと寄り添ってくれた曲やずっとそばにいてくれる曲があるのではないでしょうか?」との問いに「うん、うん」と大きく頷く人があちらこちらにいました。最後の余韻をこわさないように息を凝らしてみなさんが聴く姿が印象的でした。
ところで、震災から8年が過ぎて先週ようやく三陸鉄道リアス線が開通しました。そのことを祝し、三陸鉄道を題材にしたNHKドラマ「あまちゃん」のテーマソングも景気よく演奏されました。ぐんぐん前進する元気よさと空を飛ぶような爽快感があり、みなさんもリズムに身を弾ませて楽しそうでした。
この曲を演奏したいと申し出たのは第二ヴァイオリンの熊谷さん。「でも、出来上がった楽譜を見たら音符がいっぱいで真っ黒、第二ヴァイオリンがいちばん大変な曲でした…」とみなさんを笑わせました。
その後も『春よ来い』『花』など季節にちなんだおなじみの曲が演奏されました。最後に『北国の春』をみんなで歌うことになりましたが、ここで「どなたかマイクで歌いませんか?」とお誘いしたところ、このサロンの中の南三陸会の会長Sさんが「はい!」と名乗り出て、やんやの喝采です。Sさんのリードで全員が朗々と歌いました。ご協力ありがとうございます!

終演後のお茶飲み会では、演奏家も加わっておしゃべりしました。フィデスが気仙沼で何度が演奏しているエピソードを聞いて「私の故郷なんです~」と懐かしそうに話しかける方がいて、気仙沼の話で盛り上がっていました。或る方はやはり故郷の牡鹿半島の話をし、また或る方は以前行なったここでのコンサートの思い出を話していました。

あるおばあさまが「私は88歳、旦那は92歳。ここに来るのがほんとに楽しみ。仙台に出てきてからできた仲間だからねえ」とつくづくと言いました。そして「今日もたのしかった~ぁ」とぴかぴかの笑顔を見せてくださいました。