お知らせ

南相馬「高齢者ふれあい交流会 七夕会」1日目

2019.7.4

南相馬市社会福祉協議会が開催する「高齢者ふれあい交流会(七夕会)」に招かれ、2日間、それぞれ100名あまりの方にコンサートをお楽しみいただきました。70歳以上の一人暮らし、およびご夫婦暮らしの方が対象で、全体の2割に当たる方が、原発事故や津波の影響で、復興公営住宅にお住まいだったり、自宅を再建された方です。

会場は、手づくりの大きな七夕飾りで彩られ、入ってくるお客様の目を引きます。まず1日目は、杜の弦楽四重奏団に出演いただきました。メンバーは、ヴァイオリンが叶千春さんと駒込綾さん、ヴィオラが齋藤恭太さん、チェロが塚野淳一さんです。

南相馬市社会福祉協議会の西浦会長のご挨拶につづき、『音楽をたのしもう!』と題してコンサートが始まりました。白いタキシードの男性陣、そして華やかなドレスの女性陣に、みなさんの顔も「あら!」と明るくなりました。少しトーンの違うオレンジのドレスは、七夕会、とのことでお星さまをイメージして選んだそうです。

まず、メンバーが舞台に揃うと、1曲目は「たなばたさま」。演奏とあいさつの後、「さっそくですが、みなさんにも歌で参加していただければ…」と千春さんが促すと、あちらこちらから歌声が聴こえてきました。選曲も、今日は七夕や星空にちなんだ曲をたくさん集めてくださいました。

「震災の後、こうした活動で色々なところへ行かせていただきましたが、その各地で、この曲を演奏してきました」。そう紹介されたのは、バッハの「G線上のアリア」でした。男性も多くいらっしゃる客席に目をやると、じっくりと目を瞑って聴かれている方もいます。空間を充たす優しい響きに、すっかり包まれているように集中されていました。楽器紹介後のは、ヴィヴァルディ「春」の第1楽章。千春さんがステージを下り、お客様のすぐ目の前を歩きながら演奏しました。目の前で聴くヴァイオリンの音の迫力に、驚かれた方もいらしたのではないでしょうか。

『東北民謡めぐり』と題して、塚野さんの編曲による民謡を3曲。岩手・南部牛追い唄、宮城・斎太郎節、そしてリクエストをいただいた相馬流れ山です。「相馬流れ山」と紹介された時には、あちこちから拍手とどよめきが起こるほど、みなさん喜んでくださいました。まさかヴァイオリンやチェロで「相馬流れ山」が演奏されるとは、どなたも予想できなかったですよね。演奏が始まると、どの民謡も口ずさまれる方がおり、相馬のみなさんに民謡がどれだけ身近なものかがわかりました。今回初めてご披露となった弦楽四重奏版「相馬流れ山」は、弦楽器ならではの音の重なりや、弦を弾いて音を出すピッツィカートを使って、静かでありながらも、どこか心地のよい緊張感を感じさせる曲となっていました。東北の民謡が弦楽四重奏となって唄われる姿は、とても新鮮に聴こえました。

「ふるさと」をみんなで歌った後は『曲当てクイズコーナー』へ。塚野さんの進行で、楽しく始まりました。「分かった方は、挙手をお願いします。お年寄りはこらえ性がなくなりますので、手を挙げるより口から先に出てしまう方もいらっしゃいますが…」そんな辛口漫談のような司会に、会場は大盛り上がりです。70歳以上の方が対象の七夕会、ということで、今日は昭和の様々なジャンルの名曲揃いとなりました。「高原列車は行く」では、歌詞を配らずとも、多くの方が口ずさんでくださいました。「この曲を知らないのは…まずいですね…」と塚野さんの前振りで始まった2曲目は、ワンフレーズの演奏が終わっても手が上がりません。一番後ろの端っこで、少し手を挙げた方を発見。「福島県の歌!」正解は、「福島県民の歌」。ほぼ正解です!「宇宙戦艦ヤマト」を口ずさむ方がいて驚いたり、塚野さんが”サービス問題”という「リンゴの唄」はすぐに正解される方がいらっしゃったり、たのしい時間はあっという間でした。またどの曲にも口ずさまれる方がいらっしゃり、みなさん、歌がお好きなのだなぁ、と感じました。

坂本九メドレーが終わると、すかさず「アンコール!アンコール!」の手拍子。実は、1曲前にフライングのアンコールをしてしまったので、今回こそが正真正銘のアンコール。千春さんが「みなさんに、またどこかで、いつかお会いできますように、と願いを込めて、演奏したいと思います」と、「星に願いを」が演奏されました。あいにくの雨にも関わらず、大勢の方にお出かけいただき、手拍子や歌など、お客様やボランティアさんもみなさんで盛り上げてくださいました。またいつか、お会いしましょう!