お知らせ

南相馬「高齢者ふれあい交流会 七夕会」2日目

2019.7.5

南相馬市社会福祉協議会が開催する南相馬市原町区「高齢者のふれあい交流会(七夕会)」へ、「復興コンサート」をお届けしました。100名あまりの参加者さんを、2日間連続で迎えます。2日目の今日は、ジャスミン・トリオのみなさんの出演です。メンバーは、クラリネットの菊池澄枝さん、フルートの櫻井希さん、ピアノの鷲尾恵利子さんです。

1日目の昨日は、朝から雨に降られ欠席された方も少しいらっしゃいましたが、今日はお天気もどうにか持ってくれました。曇り空の下、10時の開場を待ちきれないお客様が多数。9時過ぎから続々といらっしゃり、リハーサルの間は待合室でしばしお待ちいただきました。お年寄りはみなさん、朝に強いですね…!

エルガー「愛の挨拶」で幕を開けたコンサート。3つの異なる楽器によるジャスミン・トリオのみなさんには、それぞれの楽器の魅力も充分にご紹介いただけるよう、ソロの曲もお願いしていました。2曲目は、ピアノソロでの「シューベルトのセレナーデ」。これは作曲家のランゲが、シューベルトの歌曲集「白鳥の歌」第4曲をピアノ独奏用に編曲したものだそうです。あまり耳にする機会は少ない曲ですが、しっとりとした今の季節にぴったりの、静かな情感が溢れてくるような曲でした。つづく「涙そうそう」は、こちらで介護予防の体操をするときに流れる曲。やはり、会場の後ろの方でついつい、音楽に合わせて体を動かしている方や、歌を口ずさむ方も。「青春時代、ジャズがお好きだった方もいらっしゃるのではないでしょうか」と澄枝さんのご紹介で、クラリネット・ソロにはジャズ・クラリネット奏者ベニー・グッドマンの映画で有名になった「メモリーズ・オブ・ユー」。午前中の福祉会館が、急に夜のカクテル・バーのような雰囲気になるのですから、音楽の影響力は大きいものですね。

今日の会にちなんで「たなばたさま」を皆さんに歌っていただき、こちらもリクエストのあった「花は咲く」を。震災があったことで、離れ離れとなった方もいらっしゃれば、震災があったことで出会えた方達もいる。そうしたこの8年4か月の歳月を思いながら耳にすると同時に、この曲が震災後の、東北の私たちにとっては、世代を超えて、新しいスタンダードナンバーになっていることも感じました。

つづくフルートソロでは、フランスの作曲家ボザが、日本各地の民謡を引用し作曲した「日本民謡の主題による5つの歌」から、「1.岩手の悲しい歌(さんさ踊)」「2.騎馬武者の戦い(相馬流れ山)」「5.宮崎の刈入れ人(刈干切歌)」を。フルートとピアノの調べに、新しいいのちを吹き込まれた民謡たち。「相馬流れ山」では、やはりあちこちから口ずさむ声が聞こえ、感激しました。

「故郷」の前には、澄枝さんから相双地区とのこれまでのご縁についてお話がありました。これまで十数年、吹奏楽の指導のために仙台から通っていること、また震災前も後も、変わらない子ども達の元気さ、一生懸命さに、むしろ大人である自分が励まされてきたこと。少しずつ成長していく子ども達と、何年も時間をかけてお付合いしていくうちに、我が子のように思えるほど近しく感じていること、そんな相双地区は、自分にとって第二の故郷のようにも思えること…。そうしたお話を伺い、みなさんに歌っていただいた「故郷」。それぞれどんな故郷を思い浮かべていらしたのでしょうか。

コンサート後半はいわき・塩屋岬が舞台となった、美空ひばり「みだれ髪」、そして朝ドラが決まった福島市出身の作曲家、古関裕而メドレーとして「ニコライの鐘」「夢淡き東京」「高原列車は行く」では、次第に曲が進むにつれて、みなさんの歌声が大きくなっていきました。男性の声もあちらこちらから聴こえてきたのも、とても嬉しいことでした!朝ドラ登場は、来年の春。どんなお話になるのか、今から楽しみですね。

アンコールの声を今日も頂戴し「それでは、最後に1曲…」と演奏されたのは「いつでも夢を」。澄枝さんから「女性のみなさんは、吉永小百合さんとして、男性のみなさんは、橋幸夫さんとして、お聴きいただけましたら幸いです」と紹介されると、聴くだけではなく、こちらも一緒に口ずさんでくださる方が多くいらっしゃいました。そんなやりとりは、演奏者にとってもなんとも、嬉しいものです。

民謡からクラシック、そしてジャズや歌謡曲まで、なんとも盛りだくさんな1時間のコンサートでした。社協のスタッフさんによると「ピアノソロの曲では、ついついうっとりとして聴いてしまった!」なんて声もあったようでした。たくさん一緒に歌っていただき、みなさんの表情もお身体も、ぽかぽかと血が巡っていくようでしたら、こちらも大変嬉しく思います。どうぞ、みなさん益々お元気で!(2日間、ご担当くださった南相馬市社会福祉協議会の矢嶋さんと)