お知らせ

若林西「うたっこ会」_7月

2019.7.10

仙台市若林区の復興公営住宅で2015年9月から「うたっこ会」を始めました。
季節に一度、みんなで歌うことを楽しむ会です。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、

こちらの町内会〈せせらぎ会〉と協働して企画を運営しています。

梅雨寒という言葉の通り、ここのところ肌寒い日が続いています。昨日よりは多少ムシムシしているかな?という7本日は、若林西市営住宅にて年に一度の「七夕うたっこ会」を開きました。集会所には住民のみなさんが手作りした立派な七夕飾りが飾られています。最近はプラスチックの笹に飾ることも多いですが、こちらでは本物の笹を使用しています。何でも近くの学校の敷地に竹藪があり、そこからいただいてくるのだとか。葉が擦れ合う音も涼しげで、とても風情がありますね。

 

 

今回は七夕スペシャルバージョンということで、音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さん、ピアノ田村聡子さんのお二人も七夕飾りに負けないくらい華やかな装いで登場です。後藤さんは星をイメージしたという明るいイエローのドレス、田村さんは夜空を思わせるネイビーのドレスといった七夕らしい装いに、参加者からも歓声が上がりました。
今日は盛りだくさんのプログラムをお届けします。前半はみんなで歌うコーナーということで、『たなばたさま』『モナリザの微笑』『世界の国からこんにちは』の3曲を歌いました。
グループサウンズはリクエストされることも多いジャンルで、今回選ばれた『モナリザの微笑』もほとんどの方がご存知の曲だったようです。しかし自分で歌うのは初めて、という方もけっこういらしたようです。聴いていただけの曲を実際に歌うのは意外と大変ですが、みなさん気持ちよさそうに歌っていました。

 

 

プログラムの後半は、ミニコンサートの時間を拡大してお楽しみいただきました。
1曲目は先月末に梅雨明けした沖縄に思いを馳せて『芭蕉布』をお届け。芭蕉布とは糸芭蕉という植物の繊維で織った布のことで、かつての沖縄では女性がお嫁に行くと、その嫁入り先の家でこの芭蕉布を織っていたそうです。沖縄の美しい自然と、芭蕉布に託された沖縄の人々の心をゆったりとしたメロディで歌った曲で、最後の3番で使われている沖縄方言(ウチナーグチ)のしみじみとした響きが胸に沁みこんでくるようでした。また、歌う前にはレとファの音を除いた<ド・ミ・ファ・ソ・シ・ド>の音階で構成される「琉球音階」について説明がありました。田村さんがその音階を繰り返し弾くとそれだけで沖縄の雰囲気が感じられ、参加者から「おぉ~」と驚く声が上がりました。
続いて歌われたのは『竹田の子守唄』。貧しさから奉公に出た先で子守りをする少女の心情を、寂しくも美しい旋律で歌った曲です。背におぶった赤ちゃんをあやすしぐさをしながら切々と歌う後藤さんを、みなさん息をつめるようにじっと見つめていました。折しもドラマ『おしん』が再放送されているので、奉公先で辛い生活を送るおしんの姿が浮かんだ方もいたかもしれませんね。
その後も『南国土佐をあとにして』では後藤さんと一緒に口ずさむ方がいたり、『みずいろの雨』ではみなさんが手拍子で参加したりと、たっぷり6曲を思い思いに楽しんでいただきました。

アンコールでは「みなさん一人ひとりのお誕生日をお祝いする気持ちを込めて」と『Birthday』が披露されました。田村さんもハーモニーで加わって歌われた「何よりあなたが元気でよかった」というフレーズには、若林西のみなさんと三ヵ月ぶりに再会できた喜びが込められていたようでした。
さらに今回は七夕スペシャルにつき、何とWアンコール!「ウォンチュー!」から始まった『星降る街角』に、みなさんノリノリで手拍子を叩きます。しんみりした曲もアップテンポの楽しい曲も取り入れた七夕うたっこ会、お楽しみいただけたようで何よりです。緩急自在な全8曲を演奏し終えたお二人に、大きな拍手と歓声が贈られました。

 

 

うたっこ会のあとはお楽しみのお食事会です。「産直ひろばぐるぐる」さんから届けられたお弁当は、ビーツのイタリアンサラダや大根葉の卵焼き、ニンジンのマリネなど、野菜たっぷりのお弁当でした。さらに小松菜のコンソメスープと和菓子もついて、何とも豪華なお昼ご飯でした。

いただきますの挨拶を任された男性は「コンサートでは『大空と大地の中で』がとてもよかった、あの曲が好きでね」と感想をお話してくれました。さらに『星降る街角』では合いの手を入れようかと思ったがやめました、と仰る男性に、後藤さんが「また歌いますから、そのときは合いの手お願いします!」と応じたので一同大爆笑です。食事中もコンサートの感想を伝えたり、それぞれが好きな歌手を挙げていったりと、色々な話で和気あいあいと盛り上がりました。

大満足の食事会を終えて外に出ると、空から薄日が射していました。梅雨ももうすぐ明けて、いよいよ本格的な夏がやってきます。みなさんどうぞお体に気をつけて、次のうたっこ会でまた元気にお会いしましょうね。