お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_7月

2019.7.19

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

今日は曇りがちな空模様のわりに気温が高く、じめ~っとした蒸し暑い空気が肌にまとわりつくようです。汗を拭きふき集まった参加者のみなさんからも、挨拶代わりのように「暑いねぇ」の一言がこぼれていました。
いつもおいしいコーヒーを淹れてくれる「喫茶ひこ」のマスター西垣信彦さんは、今月からホットとアイス両方のコーヒーを準備してくれていました。早めに到着した方の中には、さっそくアイスコーヒーを味わう方も。カップの中で氷が触れ合う音が耳にも涼しく、冷たいコーヒーがほてった体を内側から冷やしてくれるようです。

さてさて、本日の「うたカフェ」にも会場からあふれんばかりの人数にお集まりいただきました。常連さんはもちろん、久しぶりに顔を出してくださった方やお友達に誘われて初めていらしたという方も。そして田子西市営住宅の向かいにオープンした【Open Village ノキシタ】のスタッフさんと利用者の方も参加してくれました。「うたカフェ」の輪が地域にどんどん広がっているようで、とても嬉しく思います。
たくさんの参加者を前に、音楽リーダーを務める仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さん、岩瀬りゅう子さん、そしてピアノの富樫範子さんも気合十分。軽い体操で体と顔の筋肉をほぐしたら、さっそく歌の時間が始まりました。

最初の曲は前回から練習を始めた『パプリカ』です。実はこの曲、今こどもたちに大人気の曲だそうで、前回の練習の後で何人かの方から「孫と一緒に歌いたいので覚えたい」という声が会長さんのところに届いていたそうです。今日は2回目とあって、なかなか堂に入った歌いっぷり。松本さんからは音が急に上がる部分や、こぶしのような歌い方をする部分など、細かい歌い回しについてアドバイスがありました。
続いて練習した『勇気100%』もアニメの主題歌として長年親しまれている曲とあって、みなさん上手に歌えていました。歌がいまひとつ分からなくても、松本さんの合図に合わせて「ヘイ!ヘイ!」と合いの手を入れているだけで何だか元気が出てくるので、みなさんとっても楽しそうな様子でした。。明日から夏休みが始まるので、子どもさんたちと一緒に歌う機会があれば、ぜひ練習の成果を発揮していただきたいですね。

本日最後の曲はミュージカル「レ・ミゼラブル」の劇中歌『民衆の歌』です。「聴いたことありますか?」という岩瀬さんの問いかけに手を挙げたのは、2012年に公開された映画を観たという西垣さんだけだったので、短く区切って練習していくことに。岩瀬さんのお手本を聴いた途端に「難しい~!」と悲鳴が上がりますが、それでもみなさん果敢にチャレンジ!もちろん歌詞は日本語なので、基本のメロディを覚えてしまえば、通しでもちゃんと歌えるようになりました。
その様子を見て、「この”列に入れよ 我らの味方に”からのところ、男性がソロで歌ったりすると格好いいんですけどねぇ」と呟いた岩瀬さん。その視線の先には、先ほど一人だけ曲を知っていると手を挙げた西垣さんが・・・。予期せぬご指名に驚く西垣さんでしたが、冒頭の合唱に続いて声を張り上げてくれました。するとみなさんの歌声もどんどん盛り上がり、松本さんと岩瀬さんも、それぞれソロパートに参加。最後の合唱を全員で高らかに歌い上げると、まるでミュージカルの舞台で歌い切ったような高揚感が部屋にあふれ、大きな拍手が沸きました。今後はみんなでミュージカルに挑戦するのもいいかもしれませんね!

 

 

みなさんから発する熱気にクーラーも勝てず、室温がだいぶ上がってきました。にじむ汗を拭いつつ迎えたコーヒータイムでは、多くの方がアイスコーヒーを楽しんでいました。冷たいコーヒーのおいしさは、夏のうたカフェの醍醐味のひとつですね。
熱気冷めやらぬ中、お待ちかねのミニコンサートの時間です。まずは「究極の応援歌といえばこれじゃないでしょうか」と紹介された『ケ・セラ・セラ』を松本さんと岩瀬さんが2人で歌います。曲名の『ケ・セラ・セラ』は日本語で「なるようになるさ」という意味。この言葉が、のんびりとした前向きさを感じるメロディで繰り返されます。参加者もゆったりと体を揺らしながら聴き入っていました。
続いては、岩瀬さんのソロで『ね』という曲が披露されました。歌詞の中に”ね、おじいちゃんになっても/ね、おばあちゃんになっても” ”つきあっていきたいね ね ね”と、聴き手に呼びかけるような「ね」が何度も登場します。弾むようなメロディの曲を身振り手振りを交えながら歌う岩瀬さんの様子に、こちらも自然と笑顔になっていきます。最後のほうでは一緒に「ね」と歌う方もいました。
ラストは松本さんによる『献呈』で締めくくりです。今日はポップスやミュージカルソングが中心でしたが、クラシックの曲を歌う松本さんの声には改めて圧倒されてしまいます。人でいっぱいの部屋に響き渡る声を堪能したみなさんからは、音の余韻が消えると同時に大きな拍手が起こりました。

「うたカフェ」は8月はお休みをいただき、次回開催は9月20日です。そのお知らせを聴くと、ある常連さんは「来月ないのは寂しいわぁ」と残念そうに言いました。来月お休みする分、9月は倍頑張りましょう!と声をかけると、「そうね、テンション2倍にしなくちゃ!」と笑顔で帰っていきました。すっかり毎月の楽しみとして定着しているようで、とても嬉しいです。どうぞ体調にはお気をつけて、再来月またお会いしましょう!