お知らせ
メモリアルコンサートvol.23
- 2019.8.11
-
音楽の力による復興センター・東北では今年度も
偶数月11日に「メモリアルコンサート」を企画制作しています。
東日本大震災の月命日にあたる11日に、市民のみなさんとともに、
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考えました。
(主催=仙台市/共催=せんだい3.11メモリアル交流館)連日の猛暑がようやく一息ついて、今日は薄曇りの過ごしやすい日曜日となりました。今日のメモリアルコンサートは仙台フィルのヴァイオリン長谷川康さんとヴィオラ御供和江さんとファゴット入交滋さん、そしてスペインのバルセロナ・メトロポリタン交響楽団のヴァイオリン籠島弥生さんによるカルテットが演奏しました。チーム名は「クワトラ・ガッツ」、カタルーニャ語で4匹の猫という意味だそうです。数日前まで福島、岩手、宮城の沿岸被災地を訪れて演奏を届けてきたばかり、精力的なカルテットです。
籠島さんはスペイン在住20余年になりますが、震災後すぐバルセロナ在住の日本人音楽家と「フォルサ・ジャポー」という団体を立ち上げてチャリティコンサートなどを行ない、また、個人としても被災地訪問活動を続けています。籠島さんと御供さんと長谷川さんは大学の同窓生ということで、今回のツアーが実現しました。
さて、お盆前の日曜日にもかかわらず、会場は満席となりました。お客さんと演奏者の近さが特長のメモリアルコンサート、今日はファゴットの響きがひときわ大きくてめざましい感じがします。通常の弦楽四重奏でチェロが担当する部分をファゴットで演奏していました。
入交さんが楽器の説明をすると「ほ~ぉ」とみなさん感心して興味深そうにしていました。特にリード作りの苦労話には「そりゃ大変だ」「がんばってね」と入交さんを応援するような拍手が起こりました。
プログラムは和洋さまざま、トークにも定評のある御供さんの進行でコンサートは軽快に進みました。東北にちなんで『あまちゃんオープニングテーマ』、このチームのテーマ曲とも言えるアンダーソンの『踊る仔猫』(長谷川さんのイヌ役VS籠島さんと御供さんのネコ役がウケました)そして、スペインからグラドナス『インテルメッツォ』などが演奏されました。
グラドナスの説明の中で籠島さんはバルセロナのことにも触れました。人口160万人のその都市は東の海に向かって開けた港町だそうです。「いまでも、毎年3月11日には海に向かって黙祷をしています」とのお話に、胸が熱くなりました。
プログラムの最後には『花は咲く』が演奏されました。御供さんはこの曲に対するさまざまな反応があることをわかったうえで、「今日はこれを弾かせてください」と語りました。「だって、花は咲きますから。皆さんのその笑顔が”花”です。震災の後も各地で自然災害が起こって大変な思いをした人がたくさんいます。だからこれからはどうかみなさんのその花を誰かに分けてあげてくださいね」
観客の皆さんはしみじみとうなづいていました。遠くバルセロナから思いを寄せてくださる人たちがいるように、東北の私たちもまたどこかの誰かを思う。そんなお互いさまの気持ちが今そしてこれからの社会にはより一層大切になってくることでしょう。
アンコールでは『故郷』をみんなで歌い、熱い拍手とたくさんの笑顔の中で終演となりました。クワトラ・ガッツのみなさん、来場者のみなさん、ありがとうございました。
メモリアルコンサート、次回は10月11日を予定しています。