お知らせ

吉田浜「マリンバと夏をうたおう!コンサート」

2019.8.23

 一昨年度から、ご依頼をいただくようになった七ヶ浜社会福祉協議会主催の地区サロン。今年は初めて伺う吉田浜地区からスタートです。吉田浜は、七ヶ浜町の中でも内海に面した地区で、対岸には浦戸諸島や宮戸島が望めます。海岸沿いの平地は狭く、すぐ後ろに急斜面の坂・山を背負う立地のため、津波の被害は272世帯中42世帯と限定的ではありましたが、浜に面した旧中心部は27世帯が津波の被害に遭い、高台移転や復興公営住宅への入居、また町外への転居を余儀なくされました。地区内に新興住宅地はなく、昔からのコミュニティーの残っている地区ですが、その分、高齢化率が町内で一番高く、75才以上が22%、65才以上は40%以上を占めています。コミュニティセンターは、震災の前年に開館し、震災当日には200人が一夜を過ごしました。また仮設住宅ができる5月初旬まで、地区の人たちが中心となって避難所を運営しました。今回のコンサートは、当時の御苦労を労い、親睦を一層深める機会にしたい、とのご依頼でした。(写真は旧中心部。今は更地の広場。ガソリンスタンドをよく見ると、津波がどのくらいの高さまで来たかが印されています。)

 出演はマリンバ連弾の「桜二重奏」のお二人です。メンバーは熊谷昇子さんとホンダヒロヤさん。ホンダさんが、お隣り多賀城市にお住まいとのこともあって、近くにプロとして活動する音楽家がいることを紹介したく依頼したのがきっかけでしたが、お二人のキレの良い演奏と意外性のある選曲、ホンダさんの楽しいおしゃべり、そして恒例の「歌声喫茶コーナー」が好評を博し、今年も七ヶ浜各地からリクエストをいただいての再登場となりました。「今までは、みなさんに喜んでいただける選曲を、一番に考えていたのですが、今年は攻めます!」の宣言どおり、大ヒット曲ポール・アンカ「ダイアナ」でノリノリに始まると、続いてはピアソラ「鮫」。アルゼンチン・タンゴをダンスのBGMではなく音楽芸術として確立したピアソラ。夜に少し照明を落とした部屋に似合いそうな、大人のタンゴの格好よさに「…午前中に聴く曲では、なかったですね~」とホンダさん。お客さんたちからもどっと笑いが起きて、一気に場の空気が和みました。ちなみに「鮫」を選んだのは、「七ヶ浜が海に囲まれた街、ということにちなんで」だそう…。

「日本のうたメドレー」を挟んで「歌声喫茶コーナー」へ。初めてお伺いした吉田浜でしたので、みなさん始めは戸惑っていらしたようですが、ボディパーカッションに挑戦した「365歩のマーチ」では、真剣そのもの。最後には少しテンポを上げて…終わってみればいつの間にかじんわりと汗ばむほどでした。最後は春日八郎「お富さん」を歌って、歌声喫茶は終了です。

楽しい時間はあっという間。次が最後の曲と紹介された「剣の舞」。おとなしめな客席のみなさんに不安になったのか、ホンダさん「アンコールもあります!」と自ら予想外の告白にみなさん大笑い。スピード感溢れる「剣の舞」に呆気に取られていると、前列の男性陣から「ア、アンコール!」のひと声に、スピード感溢れる「情熱大陸」が演奏されました。熊谷さん、ホンダさんとも暗譜での演奏は真剣そのもの、迫力が違います。終わってからは、大きな大きな拍手をいただきました。

七ヶ浜町社会福祉協議会事務局長のAさんは、この吉田浜地区の副区長さんでもあります。最後のご挨拶で「前にも言ったことあるかもしれないんだけども…、マリンバを叩く姿は、この辺のお母さん達みんな、春になると叩くめかぶきりにそっくりだなと思って!来年はみなさんも、包丁片手でなくて、両手に持つと、きっともっとリズムに乗って、上手にできるんでないかと」のご挨拶に、またまたみなさん大笑いでした。

帰りがけ「お好きな歌はありましたか?」と声を掛けると「お富さん、うちの父親が大好きだったから、とっても懐かしかった~。そして次の曲とのギャップもね、面白かったね~」とお母さんがにっこり。帰りは、松林が津波ですっかりなくなり、高い防潮堤に変わってしまった菖蒲田浜の脇を通りました。この道路沿いにも、びっしり家が並んでいたんだけどねぇ、と、カメラマンの佐々木隆二さんが運転しながら教えてくれました。今でも、3月11日には菖蒲田浜に写真を撮りに来るのだそうです。引き続きの七ヶ浜ツアー、各地でみなさんを少しでも笑顔にしていけたらと思います。