お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_8月

2019.8.27

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、
泉中央南町内会と協働してこのサロンを運営しています。

お盆も過ぎて、朝晩には肌寒さを感じるようになりました。日中のうだるような暑さもおさまり、吹き渡る風の中にはひんやりとした涼しさが混じっています。秋はもうすぐそこまで来ているようですね。過ぎゆく夏を惜しむように、会場にはひまわりの花が飾られていますが、隅っこには秋の味覚の梨もちょこんと並んでいました。会場装飾にも季節の移り変わりが見てとれます。
今日は今にも降り出しそうなどんよりとした空のせいか、参加者の出足はややゆっくりめでした。いつも早めに来る方の姿も見えないので、お休みの方が多いかしらと心配しましたが、スタートの15分程前から続々と集まってくれました。
夏の疲れが出る頃ですが、音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さん・ピアノ田村聡子さんのお二人は今日も元気いっぱいです。後藤さんのはつらつとしたリードで体操していると、参加者もつられて元気になっていくようです。そのあとの発声練習では音楽リーダーも驚くような大きな声が出ていました。

 

 

本日最初の曲は『アルプス一万尺』。小さい頃から身近にある曲ですが、実はこの曲、全部で29番まであるのです。全て歌うには時間が足りないので、今回は3つだけ抜粋しました。歌う前に後藤さんが豆知識を教えてくれたのですが、ここでいうアルプスとはヨーロッパのアルプス山脈ではなく日本アルプス、そのなかでも特に長野県にある槍ヶ岳(通称「槍」)のことだそうです。また、歌詞の中に出てくる「小槍」は、槍ヶ岳の山頂(大槍)の西側にある山を指すのだとか。何となく口ずさんでいた歌詞ですが、改めて解説をきいた参加者からは「へぇ~」と声が上がっていました。
ところで、この曲は手遊び歌としてもポピュラーですね。というわけで、みなさんと手遊びにも挑戦しました。まずは後藤さんとスタッフでお手本を見せたのですが、手を組んだり肘を触ったり、ペアの人とはしごを作ったりと、これがけっこう複雑な振り付けなのです。ほとんどの方は初挑戦だったようで、お手本を見ながら「難しい!」とあちこちで悲鳴が上がりました。

何はともあれ実践あるのみ!というわけで、せっかくなのでペアを組んでやってみました。「右、左、両手」という後藤さんの掛け声のもと、ゆっくりとしたテンポでスタートしましたが、「あれっ、あれっ?」「あ、これ違う?」「もう駄目だー」とみなさんてんやわんや。もはや歌うどころではなくなってしまいました。なかには振り付けがすっかりとんでしまって、ひたすら手を打ち合わせながら大笑いしているペアもいます。
2回目のチャレンジではちょっと慣れてきたようで、「こうじゃない?」「次はこう!」とお互いに声を掛けながら一生懸命曲についていきます。ひぃひぃ言いながらの『アルプス一万尺』でしたが、終わった途端に大きな拍手と笑い声が弾けました。みなさん本当にいいお顔です!

 

手遊びで体も心も温まったおかげか、続く『青春時代』もみなさんノリノリで歌ってくれました。歌詞カードを見て「あら、この曲」と反応する方が多かったので、お好きな方が多かったのかもしれません。会場いっぱいに響き渡るような歌声に、後藤さんは「窓を開けてご近所に聴かせたいくらいですね!」と感激した様子でした。
続く『真夜中のギター』では一転、切ない歌詞に寄り添うようにしみじみとした歌いっぷり。緩急自在な歌声、実にお見事です。

泉中央南の歌声サロンはノリのいい方が多いのでいつも賑やかですが、今日はいっそうパワーがみなぎっていたようでした。
ミニコンサートの時間に福田こうへいの『南部蝉しぐれ』が歌われると、まるでご本人のコンサートのように黄色い歓声が上がります。自然と手拍子が始まり、間奏のたびに大きな拍手が沸き起こりました。どの方もニコニコしていて、この時間を心から楽しんでいるのがよく分かります。その笑顔へのお礼のように、アンコールでは田村さんと後藤さんが『少年時代』で美しいハーモニ―を奏でてくれました。

 

 

恒例のお見送りでは、後藤さんと田村さんに声をかける参加者で長い列ができていました。笑顔で感想を語る方、リクエストを伝える方、二人のお洋服に注目する方など、色々な言葉が交わされます。帰り際の短い時間ですが、ここでもたくさんの笑顔の花が咲いていました。