お知らせ
若林西「うたっこ会」_9月
- 2019.9.25
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仙台市若林区の復興公営住宅で2015年9月から「うたっこ会」を始めました。
季節に一度、みんなで歌うことを楽しむ会です。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、
こちらの町内会〈せせらぎ会〉と協働して企画を運営しています。今日の仙台は日差しが強く、少し動くとじんわりと汗がにじんできます。それでも窓を開けているとひんやりとした秋の風が入り込んできて、季節が着実に進んでいると感じられます。
季節に一度お届けしている若林西復興公営住宅の「うたっこ会」、会場は秋らしくたくさんのコスモスで飾られました。壁にかけられたバラ柄のタペストリーと相まって、とても華やかな雰囲気です。会場にやってきた参加者も色とりどりのコスモスに目を細めていました。集まったみなさんの前に笑顔で登場した音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さん・ピアノ田村聡子さんは、久しぶりの再会に「お元気でしたか?」「またお会いできてうれしいです」と声をかけ、参加者も頷いたり「お久しぶり~」と返事をしたり、和やかな雰囲気で秋のうたっこ会がスタートしました。
歌は声を出す前の準備が大切、ということで、体操で念入りに体をほぐします。目や口を開いて”びっくり!”の顔をしたり、ほっぺがへこむほど勢いよく息を吸い込んだりと、日常生活ではあまり意識しない表情筋もたくさん動かしてみました。美顔体操にもなるそうなので、ぜひ家でも試してくださいね。
それでは本日の歌のコーナー、まずは脳トレに挑戦です。今日は『どんぐりころころ』と『あゝ人生に涙あり』(水戸黄門の主題歌)の2曲で、歌詞を交換して歌ってみました。まず『あゝ人生に涙あり』の歌詞を『どんぐりころころ』のメロディで歌ってみると、♪ 人生楽ありゃ苦もあるさ の歌い出しからなんとも軽快な調子に。逆に『あゝ人生に涙あり』のメロディで歌う『どんぐりころころ』は、どんぐりが二度とお池から出られなさそうな重々しい一曲に。最初は戸惑っていた参加者でしたが、歌ってみると驚くほどスムーズに歌えていました。こうしたゲーム性のある歌もおもしろいですね。
歌ったついでに、ドラマで黄門さまを演じた俳優さんを確認してみました。初代の東野英治郎さんや里見浩太朗さんの名前にはみなさんウンウンと頷いていましたが、演じていた期間が短かった石坂浩二さんの名前にちょっとざわつき、直近の放送では武田鉄矢さんが黄門さまを演じていたと知るや「えぇ~!?」と驚きの声が。バラエティに富んだ方々が出演されていたんですねぇ。こちらも負けじとお手製の印籠を掲げた後藤さんにも、やんやの拍手が起きました。続いて歌ったのは『ゴンドラの唄』。こちらはファンが多い曲で、まずは見本に、と後藤さんが1番だけ歌うのをうっとりとした表情で聴いている人が何人もいました。いざ自分で歌ってみると音程がとぶ箇所がいくつかあって、なかなか難易度が高い曲だということが分かります。「音が高くなるところは、眉毛を上げると歌いやすくなりますよ」というアドバイスを受け、最初にやった”びっくり”の顔も思い出しながら再チャレンジしてみると、確かに声が大きくなったようです。歌は口元だけでなく、顔を含めたあちこちの筋肉を駆使して歌うものなのですね。最後の『青い山脈』でもこれまでのアドバイスが活かされ、とてもいいお声が響いていました。
少々休憩を挟んで、お待ちかねのミニコンサート開演です。歌謡曲から演歌、童謡と、レパートリーの幅が広い後藤さんと田村さんですが、今日は何とブルースが登場しました。日本でブルースを広く大衆に知らしめたとされる『別れのブルース』です。郷愁を誘うようなメロディや歌詞に、様々な情景がイメージとして浮かんでくるようです。後藤さんの歌声に合わせて、小さく口ずさんでいる男性の声も聴こえました。
「ブルースの女王」として愛された淡谷のり子さんですが、もともとはソプラノ歌手だったとか。音域を下げるためにタバコを吸って声を荒らしてレコーディングに臨んだというエピソードが紹介されると、参加者からは「へぇ~」と声が上がりました。
アンコールでは後藤さんと田村さんの2人で『雲にのりたい』を歌ってくれました。歌詞もメロディもしっとりとした曲ですが、お二人の爽やかに澄んだ歌声のおかげか、聴いていてあたたかい気持ちになれる曲でした。参加者も目を閉じて響き合うハーモニーに聴き入っていたようでした。
「うたっこ会」が終わると、参加していた女性陣はたくさんの布を広げて始めました。何でも、11月に開催する町内会の文化祭に展示する手芸作品について相談しているのだとか。これから一ヶ月かけて作品を制作するそうです。ようやく涼しくなって、何をするにもいい季節となりました。秋の夜長に手仕事を、というのも素敵ですね。どんな作品が完成するのか楽しみです。みなさん、制作がんばってください!