お知らせ
若林西「うたっこ会」_11月
- 2019.11.14
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仙台市若林区の復興公営住宅で2015年9月から「うたっこ会」を始めました。
季節に一度、みんなで歌うことを楽しむ会です。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、
こちらの町内会〈せせらぎ会〉と協働して企画を運営しています。秋のうたっこ会をお届けする今日は朝から気温が高く、11月とは思えない陽気。温かいのでお出かけしやすいかと思っていたのですが、時間が経つにつれて風が強くなり、お天気雨もぱらつくようになりました。音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんのお二人は、吹きつける風に苦労しながら楽器や飾り付け用の材料を運び込みました。
そうして飾り付けられた会場はすっかり秋の装いです。白い壁に映える紅葉のガーラントをはじめ、様々な秋の飾りが目を楽しませてくれました。会場の準備を整えたお二人は、さっそくリハーサルを開始。細かい部分まで入念にチェックをして本番に備えます。朝から頑張るお二人を応援するように、窓の外には大きな虹がかかっていました。参加者のみなさんも風に負けず集まってくれたところで、うたっこ会スタートです。まずは恒例の体操と発声練習で歌うための準備をします。みなさん朝イチとは思えないほどいい声が出ていたのですが、「ハッ・ハッ・ハッ・ハッ・ハ~」と声出しをしている途中で「水戸黄門になったつもりで!」と後藤さんが一言告げた瞬間、声にぐっと張りが出ました。朗らかに笑う黄門さまが脳裏に浮かんだのでしょうか。その変わりように音楽リーダーのお二人も目を丸くしていました。
そんな素敵な声で歌う最初の曲は『うさぎとかめ』。意外と長い曲で、歌詞は4番まであります。歌詞カードと参加者のみなさんが覚えている歌詞に違いがあるといったお話を挟みつつ、童心にかえって楽しく歌いました。
さて、幼い頃はお手玉よりけん玉派だったという後藤さん。おもむろにけん玉を取り出すと、歌に合わせて華麗に玉を操ってみせました。これには参加者からも大きな拍手が沸き起こります。続いて参加者の男性にも挑戦してもらいました。「何十年ぶりかなぁ」と自信なさげでしたが、いざ歌が始まるとこちらも見事な玉さばき!再び大きな拍手が贈られました。
今日はアイドルソングにも挑戦しました。曲はキャンディーズの『年下の男の子』です。ほとんどの方が初めて歌う曲だったようですが、臆せず声を出してくれました。歌いながら例の振り付けまで披露する後藤さんには「可愛い~!」と声援が。
当時は歌うより聴くほうだっただろう男性陣も、少々恥ずかしそうにしながら一緒に歌ってくれました。テンポが速く、言葉も多いので難しかったかもしれませんが、みなさん楽しそうに歌っていたのが印象的でした。休憩時間には再びけん玉が登場。女性陣はあまりやったことがないという方が多かったようで、慣れない手つきながらも楽しそうにチャレンジしていました。一方の後藤さんは剣先に玉を入れることに成功(写真は玉が入って自分でもびっくりしている後藤さんです)。その様子を見守っていた男性からは「女性でやる人はあんまりいなかったね、大したもんだなぁ」と感心しきりの様子でした。
懐かしい遊びを楽しんだあとは、お待ちかねのミニコンサートの時間です。
1曲目は『坊がつる讃歌』。田村さんがイントロを弾き始めた途端「あ、坊がつる!」という声が聞こえました。坊がつるとは大分県の九重連山のほぼ真ん中に広がる湿原で、貴重な高山植物が自生しており四季を通じて多くのキャンプ客が訪れる場所です。山に入った「山男」が花や紅葉、雪といった季節ごとの山の自然を愛でたり、山小屋で疲れを癒しながら星を見上げたりといった様子が歌われるのに耳を傾けていると、坊がつるの美しい風景が目に浮かぶようです。参加者は目を閉じ、すっかりリラックスした様子で聴き入っていました。
『柔』では一転して力強い歌声を披露。歌い出しの ”♪ 勝つと思うな 思えば負けよ”という歌詞は、本日最初に歌った『うさぎとかめ』に通じる内容ですね。参加者も手拍子で参加しました。それでは今日はここまで・・・のはずでしたが、ダブルアンコールの声がかかったので急遽1曲追加してくれました。手持ちの楽譜からお二人が選んだのは『カスバの女』。世知辛い世の中でぱっと咲いて消えるような女性の生き様を歌う妖艶な歌声に、みなさんうっとりとした表情を浮かべていました。サロン終了後はみなさん感じ入った様子で感想を伝えてくれたり、次回歌いたい・聴きたい曲のリクエストをしてくれたりしました。最初は受け身だった参加者が、回数を重ねるごとに色んな要望を教えてくれるようになっていくのがとても嬉しいです。
次回のうたっこ会は2月28日です。みなさん風邪などひかないようお気をつけて、またお会いしましょうね!