お知らせ

荒井東_「うたごえサロン」1月

2020.1.21

仙台市若林区にある復興公営住宅である荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から「うたごえサロン」をお届けしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

荒井東市営住宅のうたごえサロンは本日が新年最初の開催です。1月もすでに下旬ですが、紅白の梅や椿の花で飾られた会場はなんともおめでたい雰囲気です。市営住宅の方はもちろん、ご近所の福祉施設からもたくさんご参加いただき、20名以上の方が集まりました。会場に入ってきた音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さん、田村聡子さんのお二人が「お正月なので、服も紅白で揃えてみました」と挨拶すると、参加者からは「可愛い~」と声が上がりました。お正月の間に固くなった体をほぐして、さっそく歌っていきましょう。

 

 

今年はねずみ年ということで、本日最初の曲は『ずいずいずっころばし』です。誰しも一度は歌ったことがあると思いますが、その歌詞の意味までは分からないという方も多いのではないでしょうか。内容については諸説あるようですが、江戸時代の庶民が、”お茶壺道中”と呼ばれる大名行列をやり過ごすために戸をピシャリと閉めて家に閉じこもっている様子を歌った曲、という説を後藤さんが紹介すると、あちこちから「へぇ~」という声が聞こえてきました。不思議な語感の歌詞ですが、それを聞くとなるほどと思える部分もありますね。
せっかくなので参加者に指で”ちゃつぼ”を作ってもらい、後藤さんがみんなの歌に合わせて順番に指を入れていきました。スペースの都合で最前列の方だけしか回れませんでしたが、指遊びをした人もそれを見ながら歌っていた人も、童心にかえったように楽しそうな様子でした。曲の終わりに”ちゃつぼ”に指が入っていた女性に、後藤さんが「今年はいいことありますよ!」と宣言。参加者からは明るい笑い声が上がりました。
また、常連の方からリクエストがあった『青春の城下町』も歌いました。青春時代の純粋な恋模様を歌う参加者はどこか懐かしそうな表情をしていました。リクエストをした方も嬉しそうに歌っていて、帰り際には「ありがとうね」と音楽リーダーに声をかけてくれました。

お茶をいただきながら楽しむミニコンサートの1曲目には、谷村新司さんの『群青』が歌われました。以前にも歌ったことがある曲ですが、いつも参加してくれる男性が「また聴きたい」と何度もリクエストしてくれていたので、本日もう一度披露することとなりました。ミニコンサートの時間には、曲についてお隣の方とひそひそと語り合う方がいたり、お茶のおかわりをしようと席を立つ方もいたりするのですが、この曲が演奏されている間はみなさん身動きもせず、息をつめるようにじっと聴き入っていました。親しい人に先立たれ、残されてしまった者の悲しみを切々と歌う後藤さんの歌声と、曲の世界観をさらに盛り上げる田村さんのピアノの音色に、涙を拭う人が何人もいました。
アンコールでは、昨年”AI美空ひばり”が歌ったことで話題になった『あれから』が登場しました。大みそかの紅白歌合戦で聴いた方も多かったかもしれませんね。一人ひとりの心に寄り添うように歌う後藤さんの顔をじっと見つめていた女性が、「頑張りましたね」と語り掛けられた瞬間に顔を伏せ、そっと目元にハンカチを押し当てていたのが印象的でした。後藤さんと田村さんがこの曲の楽譜を手に入れたのはなんと1週間前だったそうですが、そうとは感じさせない素晴らしい演奏に大きな拍手が沸き起こりました。

年が明けて最初のうたごえサロンを終え、みなさん清々しい表情で会場を後にしました。今年もみなさんと楽しく元気に歌っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!