お知らせ

大和町「歌声ひろば」_2月

2020.2.16

本日は仙台市若林区の大和町市営住宅に、季節に一度の「歌声ひろば」をお届けしました。前日の季節外れの暖かさから一転してぐっと冷え込んだ今日は、朝からどんよりとした空が広がっていて今にも雨が降り出しそう。そんななか、集会所にはすっかり常連となってくれた町内会のみなさんが続々と集まってくれました。会が始まるのを待つ間にコーヒーが振る舞われ、みなさんおしゃべりに花を咲かせていました。

今日も音楽リーダーを務めるのは、ソプラノ都築紘子さんとピアノ山形佑輔さんのお二人です。朝は声が出にくいので、まずは準備体操と発声でしっかりと歌う準備をすることから始めました。首や肩のストレッチをしているとと、ときどき「いたた・・・」とうめき声をあげる人もいます。家にこもりがちなこの季節、お部屋でもときどき体操すると、体も温まっていいと思いますよ。

 

歌のコーナーでは、春らしい曲が3曲登場しました。
1曲目の『野に咲く花のように』はドラマの主題歌として話題になった曲です。心が温かくなるような歌詞を読んだ都築さんの「いい歌詞ですよねぇ」というしみじみとした呟きに、参加者もうんうんと頷いていました。ほのぼのとしたメロディを歌うお顔も、なんとなくほっこりとしているように見えます。
続いて『どこかで春が』を歌う際には、歌詞に頻出する【が】の発音について、鼻濁音で発音すること、とアドバイスがありました。そうやって優しく発音すると、美しい日本語の歌になるのだそうです。さっそく実践!と歌ってみると、みなさん発音を意識しすぎているのか、何だか難しい顔で歌っています。それを見た都築さんが「みなさん、お顔が冬です!」と嘆いたのでどっと笑いが起きました。春への期待感を表現するように歌いましょう、と言われてからもう一度歌ってみると、みなさんとってもいい表情を浮かべていました。すると自然とよけいな力も抜けて、鼻濁音の発音もばっちりできていました。

大正時代にできた『春よ来い』には、【じょじょ】【おんも】といった現代ではあまり使われない言葉が登場します。意味はご存知ですか?という都築さんの問いかけに、参加者からは「かわいい草履のこと」「お外って意味だね」と答えが返ってきました。こちらの曲は女性と男性+ボランティアの学生さんに分かれて歌ってみました。歌がお好きだという方が多い女性陣はもちろん、ちょっと恥ずかしそうだった男性陣もしっかりと声を出して歌ってくれました。
立春を過ぎたとはいえ、東北の春はまだ先です。というわけで、寒いロシアの伝統曲である『トロイカ』も歌いました。最初はゆっくりめに、2回目は少しテンポを上げて歌ってみました。短い曲ですが言葉数が多いので、テンポが速いと口が回らないかと心配していたのですが、みなさんすんなりと歌えたので都築さんと山形さんも感心していました。都築さんから歌詞に出てくる【バイヤン】について尋ねられた山形さんは「ロシアの伝統的な楽器で、アコーディオンに似ています」と説明。知らないまま歌っていたと思われる参加者からは「へぇ~」と声が上がりました。

 

たくさん歌って喉が渇いたところでコーヒータイムです。お手伝いにきてくれた東北大学のボランティアサークル「たなぼた」の学生さんがコーヒーとお茶菓子を配ってくれました。
そしてコーヒーを飲みながら楽しむのは、音楽リーダーのお二人によるミニコンサートです。最初の曲は『フニクリ・フニクラ』。日本では鬼のパンツの歌、というイメージがありますが、本来はイタリアの登山鉄道のCMソングだった曲です。弾むようなメロディにのって、拍子をとりながら聴いている人がいました。
続いては、2月14日のバレンタインにちなんで『Be My Love』をお届けしました。都築さんが「映画のThe Toast Of New Orleansの曲なんです」と説明すると、「おぉ」と声を上げた男性がいました。恋人になってください、と懇願する情熱的な歌詞は全て英語でしたが、都築さんの表情と歌声にみなさんぐぐっと引き込まれていた様子です。部屋いっぱいに響き渡るような歌声をじっくりと堪能していました。
アンコールに応えて演奏されたのは、坂本九さんの最後のシングル『心の瞳』でした。ボランティアの学生さんは、今日歌った曲をほとんど知らなかったそうですが、現在は合唱曲としても広く歌われているこの曲だけは「懐かしい」と話していました。奥様への気持ちを歌った曲とされており、愛情と慈しみにあふれた言葉が胸にしみこんでくるようです。その歌詞を彩るピアノの響きもとても優しく、じっと目を閉じて聴き入っている人もいました。

 

本日の歌声ひろばも無事に終了。帰り際、参加者は音楽リーダーのお二人に「とってもよかったよ」「またよろしくお願いします」とたくさん声をかけてくれました。中には都築さんと山形さんの絶妙な掛け合いに大笑いして「二人が楽しく仲良くやってくれるから、見ていても楽しい」と言う方も。確かにお二人の漫才のようなやりとりのおかげで、歌声ひろばはいつも笑いが絶えません。歌うのと同じく、大きな声で笑うことも心身の健康に良いことですから、どうぞこれからも楽しんでご参加くださいね。