お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_2月

2020.2.21

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

たっぷりと日差しが降り注いだ今日は、2月にしては暖かい一日となりました。いつもはスタートの30分前から人が集まってくるのですが、今日は20分前になっても人が来ず・・・。町内会長さんと一緒に心配しながら待っていましたが、一人二人とやってきたのをきっかけに続々とおなじみの顔が集まり、あっという間に満席になりました。今日はみなさん出足がゆっくりだったんですね。「喫茶ひこ」の西垣信彦さんもコーヒーを淹れて待っていてくれたので、みなさんさっそく最初の一杯を楽しんでいました。
本日も音楽リーダーを務めるのは、仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノの富樫範子さんのお三方です。まずは体や顔のストレッチで筋肉をほぐします。ゆっくり首を回したり、両手を上げて左右にゆらゆら揺れたりするだけで体がほぐれて気持ちがいいですね。

さて、本日の選曲テーマは【シャンソン】。普段なかなか歌う機会がないジャンルかと思いますが、この機会にチャレンジしてみましょう!
最初の曲は『パリの空の下』。フランス映画の挿入歌でもある曲ですが、今日の参加者の大多数が「知らない」と答えた曲でした。パリ市内を流れるセーヌ川やそこにかかるベルシー橋、サン=ルイ島といった場所がたくさん出てきて、パリの日常を軽快なメロディに乗せて歌うのですが、初めての人にはかなりの難曲。あちこちから「難しいねぇ」と声が上がりました。パートごとに少しずつ区切りながら、教えてくれる岩瀬さんに続いて一生懸命歌いました。しかし一生懸命になるあまり、歌詞カードを持つ手がどんどん下がり、それを読もうとする顔も一緒に下がっていって、背中も曲がってきてしまいました。その様子を見ていた岩瀬さんからは、もっと顔を上げて堂々と歌いましょう!と檄を飛ばされます。だいぶ苦労しましたが何とか歌い切り、「初めてでここまで歌えるようになるとは」とお褒めの言葉もいただきました。
続いてはアダモ作曲の『雪が降る』。記録的な暖冬となったこの冬は本当に雪が降らないので、松本さんは「”雪が降らない あなたは来ない”に歌詞を変えないといけませんね」とぽつり。みんなの笑いを誘います。1曲目とは逆にご存知の方が多かったようで、みなさん自信を持って歌声を響かせていました。また、曲の途中で入るセリフについては松本さんから細かな演技指導がありました。また、曲の終わりはフェードアウトを表現するために歌う人数を徐々に減らしていく工夫も。色々とやることが多い曲でしたが、みなさんしっかりと要求に応えていました。

3曲目に歌ったのは『王の行進』でした。17世紀頃には成立していたフランス南部のプロヴァンス地方の民謡で、ビゼーによる劇付随音楽「アルルの女」にもこの曲に基づくメロディがあるそうです。富樫さんが冒頭を弾いてみると、その荘厳なメロディには確かに聞き覚えがありました。硬い文体の歌詞はいかにも”勇ましい行進”といった印象です。「群衆ではなく、王・女王として行進しているつもりで歌ってください」との岩瀬さんのアドバイスを受けて、みなさん実に高らかに歌ってくれました。
最後はフランス童謡の『おなかがすいた』。おかずとしてコロッケやとんかつが出てくる短い曲ですが、今日はうたカフェバージョンの替え歌で歌います。【おかずはなぁに?】ではなく【おやつはなぁに?】という歌詞にして、【コロッケ とんかつ】を今日のコーヒータイムのお供に用意した【クッキー チョコレート】に変えてみました。さらに「もっとおやつを増やしましょう!」と松本さんが言うので、みんなで食べたいおやつを挙げていきました。エクレアやアップルパイといったおしゃれなスイーツに続いて、「塩せんべい!」「ゆべし!」と飛び出したのでみんなで大笑い。和洋ごちゃまぜのおやつソングが完成しました。

 

 

愉快な替え歌を歌ったところでコーヒータイム。先ほど登場したクッキーとチョコレート、そしておいしいコーヒーを楽しみました。なお、チョコレートは町内会さんから1週間遅れのバレンタインにといただきました。ありがとうございます。

 

 

今日はミニコンサートでもシャンソンをお届けします。まずは岩瀬さんによる、エリック・サティの『ジュ・トゥ・ヴー』。『あなたがほしい』という邦題のとおり、情熱的な愛の歌です。日本語とフランス語で歌う岩瀬さんの歌声には恋愛のときめきや高揚感があふれているようで、みなさんうっとりと聴き入っていました。
最後は越地吹雪さんの歌唱で知られる『ろくでなし』を松本さんが歌ってくれました。曲が始まるなり手拍子やフィンガースナップが自然と始まり、クラシックとは全く異なる歌い方でシャンソンを歌い上げる松本さんの歌を楽しんでいました。特徴的な「アーウィ!」の声も完璧な松本さんの『ろくでなし』が終わると、大きな拍手がわき起こりました。

 

 

今日は初めて歌う曲がたくさんありましたが、みなさん「知らない曲だから」と諦めずにチャレンジしてくれるのでとても嬉しいです。笑うことでも免疫力が上がるといいますから、楽しく歌ってたくさん笑って、元気に冬を乗り越えていきましょう!