お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_2月

2020.2.25

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、
泉中央南町内会と協働してこのサロンを運営しています。

2月も終わりに差し掛かった今日は、穏やかな陽気の一日でした。この冬は例年に比べてずいぶんと暖かかったとはいえ、やはり春の訪れには心が弾みます。集会所にやってきた歌声サロンの参加者も「今日は暖かくていいわね」と笑顔を見せていました。
春めいてくると気持ちが浮き立って、体を動かしたくなりますね。音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さん、ピアノ田村聡子さんと一緒に体操をして、冬の間に硬くなった筋肉をほぐしていきましょう。そのあとで発生すると、とてもいい声が出ていました。

毎回様々なジャンルの歌が登場する歌声サロン、本日のラインナップには映画「男はつらいよ」の主題歌がありました。2019年にシリーズ50周年を記念して50作目が公開されたということで選んだそうです。聴いたことはあるけど歌ったことはないという人が大半だったので、まずは後藤さんが見本を歌ってくれました。田村さんが耳になじんだイントロを弾き始めると、「懐かしいねぇ」という声が聞こえます。そのメロディに重なって始まる”わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です・・・”という寅さんの声が脳裏に浮かんだそのとき、後藤さんが歯切れよく口上を述べ始めたので会場がどっと沸きました。見本の演奏が終わってやんやと拍手をしているみなさんに、後藤さんが「このあとみなさんも歌うんですよ!」とツッコミを入れたのでまたひと笑いが起きました。
曲の頭と終わりにある口上は、普段使い慣れない言葉遣いも出てくるので一見すると難しそうですが、語呂がいいので勢いに乗ってつるつるっと言葉が出てきます。故渥美清さんが演じる寅さんの流れるような語りがイメージできていることもあってか、みなさん上手に口上を述べることができました。歌の部分も初めてとは思えないほどの歌いっぷりでしたよ!
他には『北の漁場』も歌いました。この曲は参加者の男性からリクエストをされていた曲です。これまで何度か「歌いたい」とお願いされていたのですが、季節に合わせて今日までお待たせしてしまったとのこと。リクエストした本人は歌詞カードを見るなり「お、きたねぇ」とニコニコしていて、いざ歌うときにはいつもより大きな声で歌ってくれました。他の参加者も歌うのは初めてと言っていましたが、なかなか堂に入った口上&歌でした。

今日は長い曲を3曲歌ったので、喉も渇いたことでしょう。ここでコーヒータイムをとりました。みんながコーヒーやお茶を片手にくつろぐなか、『北の漁場』をリクエストした男性が「リクエストをきいてくれてありがとう」とわざわざお礼を言いにきてくれました。聞けば日曜日のカラオケクラブでこの曲を歌ったばかりだったとか(集会所には立派なカラオケセットがあるのです)。嬉しそうに語る姿に音楽リーダーの二人も嬉しそうでした。

ミニコンサートのプログラムにも、参加者になじみ深い曲が用意されていました。
『銀座カンカン娘』は曲名を聞いた途端に歓声が上がりました。同名の映画が公開されたのは終戦から4年後の1949年。戦後復興のなかで日本がめざましく変化していった時代です。当時の最先端の流行が集まっていた銀座の街に対する憧れが、その陽気なメロディから感じられるようです。後藤さんにうながされ、 ♪これが~ 銀座の~ カンカン娘~ と一緒に歌う参加者も、とっても楽しそうでした。歌詞の中にカルピスを”初恋の味”と歌う部分があります。後藤さんが「初恋の味って覚えてます?」と尋ねると間髪入れずに「わしぇった(忘れた)!」と返され、元気な笑い声が弾けました。
アンコールは『花は咲く』でした。この時期なので、という後藤さんの言葉に「もう3月になるものねぇ」と静かに呟いた方がいました。田村さんもコーラスに参加して演奏されたこの曲を、ある人は目を閉じて聴き入り、またある人はささやくような声で一緒に歌っていました。『花は咲く』に対する思いは人それぞれだと思いますが、お二人の優しい歌声はみなさんの心に優しく響いたのではないでしょうか。

 

 

2月の歌声サロンも無事に終わりました。次回は年度末、3月31日に開催予定です。
色々と心配なニュースが続いていますが、みなさん体調にはお気をつけて、来月元気にお会いできることを願っています。