お知らせ

福島・ホットサロンてとて「さくらんぼコンサート」

2020.2.26

半年に一度「復興コンサート」をお届けしている「ホットサロン『てとて』」が、福島駅近くの結婚式場、ウェディング・エルティの一室で開催されました。(社福)福島市社会福祉協議会が月に一度開催するサロンには、原発事故により相双地区から避難・移住された方々が集います。受付は、元住んでいた町ごとに名前を記入するシステム。宮城・岩手では目にしない光景です。お伺い始めた当初は50名近くの参加がありましたが、最近では元の町に戻られた方や、外出が難しくなった方、施設に入られた方、亡くなられた方もおり、20名ほどの参加となっています。それでも、元の町に戻っても、音楽の回には参加したいとわざわざいらっしゃる方も。そんな皆さんの期待に応えられればと、福島に縁のある音楽家や曲目を用意して伺っています。今回は「さくらんぼコンサート from 山形~みんなで音楽の楽しさを~」と社協スタッフのみなさんが、タイトルを付けてくださいました。出演は、昨日の郡山公演に続き、山形交響楽団からクラリネットの本田有里恵さん、チェロの久良木夏海さん。また、出演を予定していたヴィオラの山中保人さんが体調を崩され、急遽コーディネーターの千田が数曲ピアノで参加しました。

今回はピアノを使うこともあり、演奏家は舞台を降りて、お客さんのすぐ近くでの演奏となりました。福島生まれの作曲家 古関裕而による「高原列車は行く」で明るく始まると、楽器紹介を兼ねたソロコーナーへ。チェロという楽器に、楓の木が使われていることや、弦は元々は羊の腸を捩ったものが使われていたこと、今、久良木さんが使っているのは、スチール製の弦であることを教えてくれました。そのチェロとピアノで演奏されたブラームスの「子守歌」は、みなさんどこかで一度は聴いたことのあるメロディーだったのではないでしょうか。続いてバッハの「無伴奏チェロ組曲 第1番」から、CMなどでも耳にする「プレリュード」と「メヌエット」「ジグ」の3曲を。目の前で演奏される舞曲は生命力に溢れ、これからやってくる春を感じさせるのにぴったりでした。

クラリネットの紹介では、この楽器の黒い色が、絵の具を塗ったのではなく始めから黒い木だというのに、みなさん驚かれていました。アフリカの一部に育つグラナディラ、という木でないと、クラリネットのこの柔らかい音は出ないのだそうです。そして、クラリネットで聴かせてくださったのは、映画「ニューシネマパラダイス」のテーマ曲と「クラリネット・ポルカ」。どちらも、らかな音色、そして、楽し気で細やかな動きが得意なことと、クラリネットの良いところが存分に伝わってくる曲でした。また、演奏しながら段々楽器がバラバラに、小さくなっていってしまう「だんだん小さく」という楽しい曲も。始めは、静かに聴いていらしたみなさんも、最後とうとう小さなマウスピースだけになってしまった楽器に「え~っ?!」と言った表情でした。

最後は「うれしいひなまつり」、そして「川の流れのように」をみなさんにも歌で参加いただき、アンコールには再び最初に演奏した「高原列車は行く」を。新型コロナウイルスの影響で最後の記念撮影や、演奏者のお見送りは、念のため見送らせていただき、少し残念でしたが、笑顔でお帰りになるみなさんの姿にほっとしました。2日間ご一緒いただいたクラリネット本田さん、チェロ久良木さん、そして郡山をご一緒したヴィオラの山中さん、また、今回のために新曲を書いてくださった作曲家・フルート奏者 荒川洋さん。またぜひ、ご一緒いただけますよう、その時を楽しみにしております!