お知らせ

釜石④鵜住居公民館「ハロウィンコンサート」

2019.10.31

釜石復興コンサートツアー4公演目は、釜石市街地から北に峠を抜けた鵜住居(うのすまい)地区。今日も、トリオ・クルールの、ファゴット奏者高橋あけみさん、フルート半田水季さん、ピアノ大野木はるかさんとご一緒です。

三陸鉄道鵜住居駅のすぐ目の前に、公民館と災害公営住宅があります。また、つい先日開催、また中止となってしまったラグビー・ワールドカップの開催会場、鵜住居復興スタジアムも、川向うに臨める場所です。公民館とは、駅前のロータリーを挟んで、お土産物屋、食堂、旧防災センター跡地に建てられた震災犠牲者慰霊碑などが一ヶ所に集まっており、会場に入る前に全員で慰霊碑に手を合わせに行きました。津波の高さと同じ石の壁は、見上げると恐怖を感じるほど高く、亡くなられたみなさんがどんなにか恐ろしい思いをしただろう、と言葉もありませんでした。

今回は、鵜住居復興スタジアムで予定されていたRWC2019の試合のうち、2戦目が台風により中止となってしまった直後でした。これまで長い間、このRCW2019のために町を盛り上げていらした釜石のみなさん。仕方のないこととは言え、どんなにか残念だったことかと思います。そんなときにお伺いさせていただくのも、心苦しいような気もいたしました。そんななか、お集まりいただいたみなさんには、ぜひ、たのしいひとときをお届けしたい、という気持ちで準備に入ります。

すぐ隣りに、集合型の災害公営住宅があり、周辺にも戸建ての自立再建住宅が少しずつ増えています。とはいえ鵜住居地区は、半島部や川の上流など、実は広範囲に亘ることもあり、公民館行事への参加は普段からあまり多くはないのだそう。この日も、どのくらいの方が集まってくださるか…と館長や職員さんと少し心配しながら準備をしていると、ひとり、二人と、少しずつお客様が増えてきました。

ドレス姿のトリオ・クルールのみなさんが登場し、コンサートは「虹の彼方に」からスタート。広い会場に、明るい音色が響き亘ります。職員のみなさんも、入れ代わり立ち代わり覗きに来てくださいました。メンバー紹介・楽器紹介の時間には、それぞれの演奏者の楽器の音色ばかりでなく声もお聞きいただきます。すると、ぐっとお客様との距離が近づくように感じるのが不思議です。そして、開演してから、なぜか一人二人と、どんどん増えていくお客様…。みなさん、様子を見ながら…という感じの土地柄なのでしょうか…?気がつけば用意した椅子は、ほとんどが埋まっていました。

みなさんに歌っていただいたのは、リクエストいただいた「さくら貝のうた」と「もみじ」。また最後にベートーヴェンをお聴きいただいた後には、アンコールとしてここでも「瀬戸の花嫁」を歌いました。

最後まで、静かに聴いてくださった方が多かった、この鵜住居の会場。ところが、終演後、驚きました!会場の外でお見送りするメンバーの前に、人だかりが!お一人お一人、本当に全員のお客様が、熱心に、直接感想をお伝えくださっていました。「今日は聴かせてもらってありがとう」「こんなに遠いところまで、来てくれてありがとう」「とってもよかったよ!」「素晴らしかった~」「またきっと来てね」「来年も待ってるからね!」名残惜しそうに、心からの笑顔でお話しくださるみなさんに、メンバーも心からほっとした表情でした。

公民館長のKさんが「参加者、いつもよりも、随分多いです」と驚かれたほどの人数と、終演後のみなさんの熱心さ。開演中は少し心配ではありましたが、人見知りな東北人らしいみなさんの気質が、垣間見えた鵜住居での公演でした。また、お会いできますように、それまでどうぞお元気で!

この公演を含む釜石5公演は、令和元年度岩手県「被災者の参画による心の復興事業」の補助を受けて実施しました。