お知らせ

釜石④中妻公民館「ハロウィンコンサート」

2019.10.31

岩手県釜石市内5カ所を訪問する今回のツアーも、最後の会場となりました。山形から、トリオ・クルールの、ファゴット髙橋あけみさん、フルート半田水季さん、ピアノ大野木はるかさんとご一緒しています。

中妻公民館は、新日鉄釜石(現・日本製鉄釜石製鉄所)の大規模な工場敷地に連なった場所にあります。集合型災害公営住宅の1階部分が公民館になっており、毎日、朝になると入口前の広場ではラジオ体操が。その他にも困りごとの相談や、サークル活動など、保健師が常駐する公民館兼生活支援センターとして、人の出入りが絶えません。また、館長はじめ、職員のみなさんも、地域住民のみなさんのことをよくご存知いらっしゃることが、とても伝わってきました。3棟が建つ災害公営住宅と道路を一本挟んで、今も、プレハブ応急仮設住宅があります。こちらは全国各地の役所から派遣されている、応援職員の方々が今も数世帯、暮らしているのだそうです。8年半が過ぎた今、なんともありがたく、また申し訳ないような気持ちになりました。

この日は、午前中には近くの保育園の子どもたちが「ハロウィン交流会」としてやってきたそうで、午後はコンサート、と、みなさん何日も前から楽しみにしていたそうです。一日に2回出てきていただくのは、億劫になってしまうのでは?とも思いましたが、時間が近づくと、続々と集まってくださいました。そして、少し、オシャレをして来てくださった方が多いような?お迎えするこちらも、なんだか嬉しいです。

フルートの紹介を兼ねた久保田早紀「異邦人」、ファゴットの紹介では「川の流れのように」を。音の鳴る仕組みや、楽器の素材、吹いている方にとってどんなところが魅力か、そんなお話にもみなさん熱心に耳を傾けてくださいました。聴き慣れたなつかしい曲が続き、みなさんの表情もほころびます。ピアノ独奏での「ムーンリバー」やエルガー「愛の挨拶」など、楽しい気分の曲が続きます。みんなで歌おうコーナー、中妻公民館のみなさんが選んだリクエストは「花嫁人形」でした。「もみじ」と共に、みなさん歌うのも楽しげです。コーラスサークルがいくつかあるとのことで、もしかしたら団員の方もいらっしゃったかもしれません。

ベートーヴェンの三重奏曲を最後に演奏し、本格的な演奏者のかけあいに引きこまれた後は、アンコールの「瀬戸の花嫁」を。懐かしい情景を思い浮かんだ方もいらっしゃったのではないでしょうか。

終演後は、会場から出口まであっという間に長い行列が!お一人お一人が、出演者と握手をし、御礼の言葉を口にされながら、お互いに言葉を交わす交流会となっていました。中には「一緒に写真撮ってもいい?」と言う方や、「今日はハロウィンコンサート、と聞いたから、少しかぼちゃっぽいでしょ」と、黄色い素敵なジャケットをお召しの方も。なんだか最後は、出演者の3人と、女子高生同士のような会話になりながら「とっても楽しかった!」と笑顔でお帰りに。こちらまで、心がぽかぽかと温かくなるような終演でした。

今回の5公演、台風19号の影響がどの程度なのか、非常に心配もありましたが、予定していた5公演すべてお天気にも恵まれ、皆様に楽しんでいただくことができました。トリオ・クルールのみなさんとは、3回目となる釜石ツアー。今までで一番お天気にも恵まれたこの2日間でした。各公民館のみなさま、宝樹寺様、釜石市社会福祉協議会のTさんほか、多くの方にご尽力いただきましたこと、心から御礼申し上げます。「また、来てくださいね」「楽しみにしているからね」と言っていただいたことに、どんなに励まされたかわかりません。また、お伺いできますように、心か祈っております。尚、この公演を含む釜石5公演は、令和元年度岩手県「被災者の参画による心の復興事業」の補助を受けて実施しました。