ジャスミン・トリオ（クラリネット菊池澄枝さん、フルート櫻井希さん、ピアノ鷲尾恵利子さん）との気仙沼ツアー2カ所目は、三陸道・気仙沼中央インターから程近い松崎鶴巻地区。防災集団移転団地として、160世帯が移住しました。近くを流れる面瀬川沿いに津波が浸水し、沿岸部だけでなく内陸にまで津波被害が及びました。転入後も、しばらく独自の集会所がなく、松岩公民館までバスを頼んで町内会行事など行っていましたが、念願の集会所ができたのが2018年8月。そのお披露目を兼ねて、また、まだまだ隣近所に住んでいる人の顔が分からないままでもあり、知り合うきっかけづくりにと依頼をいただいたのが昨年9月でした。

　昨年に続いて、またぜひお願いしたいとの声をいただき、今回は伺うことになりました。コンサートタイトルは、自治会長Uさんが付けてくれたものです。クラシックだけではなく、クラリネットのソロではジャズの名曲「メモリーズ・オブ・ユー」や、歌のお好きな方が多いともお聞きして「港町十三番地」「北国の春」「おいらの船は300トン」もご用意。ドレス姿のプロの演奏家が、歌謡曲も聴かせてくれて、皆さんそのギャップに驚かれていた様子です。

　またジャスミン・トリオには嬉しい再会もありました。2016年11月に気仙沼・鹿折中学校住宅（校庭に建てられたプレハブ応急仮設住宅）に、コンサートで訪ねた際に、カホンを叩いてくれたおじいさんがいらっしゃいました。奥さんと共に車ごと津波に呑まれたものの、お二人とも一命を取り留めたというお話しを、コンサートの後でお伺いしたことも忘れられず、「北国の春」での共演も記憶に残ったままでした。今は、こちらの鶴巻地区に居を定め、終の棲家としてお住まいとのこと。仮設住宅は、解消してしまうとみなさん、どちらに引っ越しされたのかわからなくなってしまうことがほとんど。一期一会の「復興コンサート」の活動で、こうした再会が叶うことは滅多にありません。今回も、奥様とお二人で聴きに来てくださり、思いがけずジャスミンのみなさんとも再会となり…本当に嬉しい出来事でした。また、お伺いしますからね、まだまだお元気でいらしてください！