お知らせ

南相馬・小高サロン「おだか紅梅の花咲くコンサート」

2019.3.20

南相馬市の南に位置する小高区は、福島第一原発事故後、全域が避難対象地域となりました。平成28年7月12日に避難解除となりましたが、13,000人近かった人口は、8,000人弱まで減少。そのうち実際に戻って暮らし始めた方は3,123人に留まっています(H31.1.31現在)。今回依頼を頂いた「小高サロン」は南相馬市社会福祉協議会が月に一度、小高区健康福祉センターで開催しています。(相馬野馬追い祭りでも重要な役割のある、小高神社のすぐお隣りにありました。)小高に戻ってきた方たち同士で、お茶を飲んだり、健康体操をしたり、おしゃべりを楽しんだり。交通の便の悪い方、出かけてくる手段のない方は、社協スタッフが車で迎えに行くそうです。それでも、繋がりをなくさないように、孤立してしまわないようにと、熱心な働き掛けもあり、多くの方がこのサロンを楽しみにされている様子でした。

出演は、仙台チェンバーアンサンブルから、クラリネットの叶光徳さん、ピアノの門脇麻美さん、打楽器の小林直央さんです。叶さん、門脇さんは、震災前から相馬や双葉郡での演奏機会も多く、小林さんは福島市在住。以前の風景もご存知な方に、今回はお願いすることができました。また参加される方は70,80代が多く、平均年齢は78~79才とお聞きし、ゆったりと楽しんでいただけるプログラムをたくさん含めてくださいました。

ジャズ・クラリネットの寛いだ気分が楽しい「鈴懸の径(みち)」や、以前某テレビ局の、番組と番組の間に、子犬が戯れる映像と共によく流れていた、藤家虹二さんの「恋わずらい」など、懐かしい曲も。普段何気なく耳にしていた音色が、実は、クラリネットの音色ということが、時々あるんですよ、との叶さんのお話に、静かに頷かれる方が多くいらっしゃいました。

「剣の舞」では、小林さんの一人五役の活躍に、皆さん釘付けに。「春の歌メドレー」では、「どこかで春が」「春が来た」「花」と、世代を超えて歌い継がれる歌を。民謡自慢のこの辺り、気持ち良さそうに歌われる方もあちこちにいらっしゃいました。「コーヒールンバ」では、ボディパーカッションに挑戦です。見よう見まねで、ピアノとクラリネット、そして小林さんのボンゴと共に、合奏に参加です。みなさんの集中力も素晴らしく、終わった後には写真の通り!

 

後半は福島ゆかりの「高原列車は行く」「乱れ髪」、春を待つ東北にはぴったりと来る「北国の春」、そして「愛燦燦」と、耳馴染みのある曲が並びました。演奏会が終わる頃には、少し緊張されていたみなさんの表情も、心なしか弛んで見えました。

慣れ親しんだ小高の町に戻ってきた皆さん。それぞれのご自宅が近所同士な訳ではなく、離れた場所に暮らしている方もいるそうです。どうぞ身体にお気をつけて、またきっとお会いしましょう!