お知らせ

田子西市営住宅「真夏のコンサート」

2020.8.7

新型コロナウィルス感染症の影響でお休みしていた復興コンサート活動ですが、本日は仙台市内で初の再開となりました。仙台市宮城野区にある田子西市営住宅の町内会からの依頼を受け、「真夏のコンサート」をお届けしました。感染症対策で席数を限定して間隔を空け、体温測定や消毒、換気を励行し、演奏家と客席は2メートルの距離を保つよう留意しながらの演奏会でした。

出演はヴァイオリン叶千春さんとピアノ菅野明子さんのデュオです。この市営住宅が完成した2014年の夏、千春さんは弦楽四重奏で復興コンサートを行なっていて、実に6年ぶりの再登場となりました。
「当時はエアコンもカーテンもなく、汗だくで演奏したことを覚えています」と、千春さん。周辺の景色も集会所の様子もすっかり変わりましたが、今日も汗だくで、文字通り熱の入った演奏を披露してくださいました。

オープニングは『たなばたさま』でした。本来ならば、今頃は仙台七夕まつりで賑わっている時季なのですが、今年は祭りが中止となり、ちょっと寂しい8月です。七夕の気分を少しでも…という想いのこもった選曲でした。
マスネ、ショパン、サン・サーンスなどのクラシック曲や日本の四季を映した唱歌の数々が演奏されました。演奏家のお二人は人前で演奏するのが久しぶりだったので、「こうしてお聴きいただけるのがとても嬉しいです」と終始笑顔で、指先や背中からも演奏できる喜びが零れ落ちるようでした。
ヴァイオリンとピアノの調べがお客さんの身体にぐんぐん染みていくようにも思われました。音楽は渇きをいやす泉のよう、ということを改めて実感する光景でした。

久しぶりの復興コンサートは大きな拍手と笑顔の中で無事に終演となりました。お客さんの表情には何かかがやくものが表れていました。町内会長さんは閉会の挨拶で「音楽もビールと同じで“生”が最高ですね」とみんなを笑わせました。本当にそうですね!
町内会の方の話によれば、この数か月の自粛期間で活動が減ったことで、特に高齢者の心身への影響が大きいとのことです。「こういう機会に顔を出してくれるといいんだけどね」「だから、また来てね!」とおっしゃっていました。
過度に恐れず、かつ油断することなく、感染症対策をしながら復興コンサート活動を広げていけたらと思います。町内会の皆さん、演奏家の皆さん、どうもありがとうございました!