お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_11月

2020.11.24

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、
泉中央南町内会と協働してこのサロンを運営しています。

再開して二度目の泉中央南市営住宅での歌声サロン。まだみんなで歌うことには不安を感じることもあるので、しばらく「音楽サロン」と題して、生の音楽を楽しむ時間として続けることにしました。
音楽リーダーを務めるのはメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんのお二人。秋らしい色合いの衣装が、会場にたくさん飾られた秋のガーラントと調和しています。

ウォーミングアップでは『幸せなら手を叩こう』に合わせて体を動かしました。といっても歌の合間に手拍子をするだけではなく、歌に合わせてグー・チョキ・パーを順番に出しながら歌詞に合わせて足踏みをしたり肩を叩いたりと、ちょっとした頭の体操にもなるような手遊びです。手の動きに気をとられて足踏みを忘れたり、グーチョキパーのタイミングがずれて「あれ~?」と首を傾げたり、みなさんアタフタしつつも楽しそうに体を動かしていました。

本日最初の曲は、プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」より『私のお父さん』。恋人との仲を引き裂かれそうになった娘が、父親に向かって「彼との結婚を許してくれないなら、川に身投げしてしまうから」と訴えかける曲です。歌声サロンではみなさんが歌いやすい歌謡曲や童謡を選ぶことが多い後藤さんですが、今回はコンサートなので、とクラシックの曲を歌ってくれました。歌声はもちろん、表情やしぐさからも父親に結婚の許しを請う娘の必死な思いが伝わってきて、オペラの舞台を見ているように引き込まれます。その演奏の熱量に、客席からは大きな拍手が起こりました。
続いては日本の秋の童謡から『たき火』と『赤とんぼ』を歌ってくれました。特に『赤とんぼ』はアレンジがとても素敵で、いつもと少し違った雰囲気を楽しめました。子どもの頃、立てた指の先にとんぼが止まるのを待っていたという後藤さんに、客席からも「よくやってた」と懐かしそうな声がいくつも上がりました。「指を舐めてからやるといいんだよ」という男性に対し、「私らは舐めたりしなかったわ」という女性陣。「今度こっそり試してみますね」という後藤さんのコメントに、大きな笑い声が上がりました。
日本の喜劇王とも呼ばれたエノケンこと榎本健一さんの歌で知られる『私の青空』では、みなさん手拍子で演奏に参加。間奏では後藤さんがトランペットの口真似を披露し、客席をわかせました。

田村さんはソロ演奏で『匠』を披露。この曲は「大改造!!劇的ビフォーアフター」という番組のテーマソングで、「みなさんに気軽に聴いてもらえる曲を」ということで選んでくれました。覚えのあるメロディが始まり、今にも<何ということでしょう>というナレーションが聞こえてきそうだな、と思っていたら、後藤さんがしっかり再現してくれました。番組を見ながらだとBGMにだけに集中することは難しいですが、今日は新しい家で始まる暮らしへの期待が感じられる爽やかなメロディを、最初から最後までしっかり楽しむことができました。

コンサートはまだまだ続きます。田村さんが「昭和歌謡曲で秋といえば、この曲ではないでしょうか」と説明して弾き始めたのは『恋人よ』。この曲が大好きだという町内会長さんからは思わず拍手が飛び出しました。他にも『また会う日まで』や『いつでも夢を』などの名曲が登場し、みなさんマスクの下で口ずさんだり手拍子をしたりと音楽を楽しんでいました。
アンコールに応えて演奏されたのは『川の流れのように』でした。美空ひばりさんの人気はやはり高く、曲名を聞いて皆さん嬉しそうな顔をしていました。サビの部分では田村さんの歌声も加わり、後藤さんと美しいハーモニーを奏でていました。

今日はクラシックから歌謡曲までお楽しみいただきました。音楽には、生の演奏だからこそ感じられるものもたくさんあると思います。来月は12月22日(火)に実施しますので、また足を運んでいただけると嬉しいです。