お知らせ

みんぷく郡山「クリスマスコンサート」

2020.12.18

福島県内で、原発事故避難者・帰還者の様々な問題に取組み、真の復興を目指し「みんなが復興の主役!」を掲げる、NPO法人みんぷく。郡山拠点事務所が運営する「県中県南会津地区復興自治組織連絡協議会」の12月例会として、「クリスマスコンサート」が開催されました。郡山を中心に、会津や白河など、各地の復興団地の自治組織役員さんたちが集う機会です。会場は、新築された郡山市中央公民館。設備の整った立派なホールと、スタインウェイのフルコンサートモデルのピアノがあり、驚きました。この日の出演は、郡山在住のフルート渡邊聡美さん、白河からピアノの井上実畝さん、福島市から打楽器の小林尚央さんです。数日前にクラスターの発生した郡山でしたが、なんとか、この日は開催となりました。

小林さんにお聞きしたところ、「グランドピアノだからこその選曲」だったという、村松崇継さんの「Earth」から始まりました。壮大な世界観と、フルート・ピアノ・打楽器というアンサンブルのかっこよさに、一気に非日常の世界に引き込まれます。渡邊さんから「今日は会津からの方もいらっしゃると伺いましたが、昨日までの大雪で、大変だったのではないですか?」と声をかけると3人ほどの方が、手を挙げながら大きく頷かれていました。そんな中でも駆けつけていただき、本当にありがたく思いました。また、フルート奏者のこのコロナ禍での工夫、として、楽器にマスクをするような小道具を、渡邊さんが見せてくださいました。みなさん「へぇ~!」と驚いた様子でした。本当にさまざまな分野で、この状況でもなんとかコンサート活動ができるようにと、日夜努力されている方々いらっしゃるのだと実感しました。

コンサートは、それぞれのソロと楽器紹介、古関裕而メドレーなど。打楽器の小林さんのソロは、なんと小太鼓だけを使って、様々な方法で音を出し、一曲の曲となっている「パフォーマンス・バリエーション」という面白い曲。小太鼓1台で、こんなに迫力のある音が出たり、様々な叩き方があったり、と、目で見ても楽しい曲でした。ピアノの井上さんはドビュッシー「アラベスク第1番」を。この曲は、2011年の東日本大震災の時に、しばらく自宅からどこにも出られなくなった間に楽譜を読み、練習をした、思い出のある曲なのだそうです。異国情緒を思わせる美しいピアノの音色に、心が落ち着きました。

今日の会場は定員500席に50人のみ。一列おきに、左右2席ずつ空いています。舞台で演奏していると、見えるのはマスク姿のお客さんが、パラパラ、と座っていらっしゃるのみ…。演奏者には、お客さんの表情やお顔は全く分かりません。実は、冒頭から、会場には妙な緊張感が続き、古関裕而メドレーの前に、フルートの渡邊さんから、思いきって一言…「みなさん、一瞬だけ、マスクを取ってお顔を見せていただいても良いでしょうか…?」お客さんみなさん、快く、一瞬お顔を見せてくださいました。このやりとりで、少し、ステージと客席の距離が縮んだような気が…。後半には、「上を向いて歩こう」のボディパーカッションもあり、手と足とを両方使うパターンは、相当頭を使わないと難しいリズム体操。2席お隣りと空いている皆さんも、離れたお隣と、顔を見合わせる姿があり、あちこちから笑い声が聞こえて来て、一気に空気が解れました!

アンコールには終わったばかりの朝ドラ「エール」の主題歌、GReeeeNの「星影のエール」。盛大な拍手をいただいて終演となりました。コンサートが終わってお客様から聞こえてきたのは「生演奏なんて、本当に久しぶり。とっても良かった!」「今日は団地でちょっと嫌なことがあったけど、来てよかった!これで楽しい気持ちで今日一日を過ごせます!」。スタッフの方からも「こんな時に、生の演奏を、聴かせてもらえたことが、本当に感謝です。音が心に沁みました…」と…。開催できて、本当によかったですねと、担当していただいた石井さん、ダクルスさんと、ほっと胸を撫で下ろしました。

郡山近郊や会津地方は、2月以降、依頼をいただいても、打合せに出向く前に、「やはりもう少し様子を見たい」「今回は見送りたい」と言われることが続きました。コンサート、という以前に、集まりを持つことさえ中段されている団地の方が多い状況です。郡山市は、5,6月時点で、11月までの町内会行事が禁止に。感染について、誰も責任を持ちきれない状況では、致し方ないことでした。今日の会は、その各団地の自治会で、日々ご苦労されている役員さんたちの、情報交換の場でした。その貴重な機会を、12月はコンサートをみんなで楽しめたら、と譲っていただいたような形でした。会場では、何名か、これまでに訪ねた団地の役員さんもいらっしゃり、「落ち着いたら、またうちの方にも来てね!」と嬉しい言葉を頂戴しました。しばらくは我慢ですが、いつでも飛んで行けるような準備を、引き続き続けていきたいと思います。