お知らせ

七ヶ浜・花渕浜「聴ぎさ来てけさいん!コンサート」

2021.6.2

(社福)七ヶ浜町社会福祉協議会では、災害公営住宅入居者見守り相談ネットワーク構築事業として、
災害公営住宅のある地区において毎月地区サロンを開催しています。
そのサロンの1回として、今年度も七ヶ浜町内5地区に「復興コンサート」をお届けします。
主催:(社福)七ヶ浜町社会福祉協議会 共催:(公財)音楽の力による復興センター・東北

 気持ちの良い青空の広がる6月。今年度最初の「復興コンサート」を開催することができました。お伺いしたのは、宮城県七ヶ浜町にある花渕浜地区避難所です。災害公営住宅の敷地の中にある集会所で、公営住宅にお住まいの方ばかりでなく、花渕浜地区のあちらこちらからみなさん集まってきます。次の災害に備え、地域内のみなさんの交流を図るためにも、また引き籠もり防止の一助として、2017年以降毎年お伺いしており5回目の訪問となりました。くだり坂の向こうに広がる海には、沖を行くタンカーが見えています。

 出演をお願いしたのは、金管三重奏Brass Trio仙台のみなさん。Tp.櫻井伸泰さん、Hr.小松彩さん、Tb.山川莉穂さんの3名です。今回の演奏会に向けて、ご自分たちでいくつもの曲を金管三重奏用に編曲してくださいました。

 最初はヘンデル作曲「王宮の花火の音楽」より「歓喜」。立奏による金管楽器らしい華やかなファンファーレが響き、コンサートが始まりました。天井の高い会場なので響きが良く、部屋全体をアンサンブルの素敵なハーモニーが充たして、教会で演奏を聴いているようです。続く広瀬勇人作曲「名もなき詩(うた)」は、金管アンサンブルのために書かれた曲。ゆったりとしたメロディーや、技巧的な聴かせどころもあり、こんなことも吹けてしまうんだ!と驚かれた方もいらっしゃったかもしれません。

 楽器紹介はトロンボーンの山川さんから。スライドと言われる部分を、右手で引いたり伸ばしたりすることで音が変わることや、マウスピースだけでも音が変えられると紹介があり「かえるのうた」を吹いてくれて拍手喝采でした。ホルンの小松さんからは、演奏者の足元になぜ吸水シート(ペットシーツ)が敷いてあるか?について、息を吹きこんで音を鳴らすことで、管の中に水蒸気が溜まること。その水蒸気飛沫の拡散防止のために、と聞いてみなさん納得のようでした。またホルンのベル=朝顔と呼ばれる部分が、後ろに向いているのは、昔、集団で狩りをする際に、後ろを走る仲間に向かって「獲物がいたぞ~!」と馬を走らせながら知らせるのに使ったため、と言ったお話がありました。狩りの際、実際に吹かれていた合図も吹いてくださり、みなさん「へ~!」。最後のトランペット櫻井さんは、なんと4種類の楽器を持参。ひとつは、管がぐるぐるとまとめてあるだけ、のようなラッパ。赤く長い組紐が巻かれています。「これは、自衛隊で実際に使われているラッパです」これにも「え~!?」と驚きの声。陸上自衛隊多賀城駐屯地がすぐ近くにある七ヶ浜のみなさんにとっては、身近な存在でもあり、とは言え実際に実物を見たことはなく…。元自衛隊音楽隊員だった櫻井さん、早速吹いてくれました。「今のは“気を付け!”と“休め!”でした。」そう言われると、確かにそんな風に聞こえてきました。その他、高音域が得意なピッコロ・トランペット、管の長さの違う2種類のトランペットの音色をそれぞれ紹介した後、おしまいには楽し気なアンダーソン作曲「トランペット吹きの休日」を3人で聴かせてくださいました。運動会や、某スーパーの夕方タイムセールで耳馴染みのある曲。始まると、お母さんたちも聴いたことがある曲だったようです。頷きながら聴かれる姿もありました。

続く「日本の四季メドレー」には、懐かしい童謡がたくさん含まれていました。大きな声では歌えない御時世ではありますが、音楽に誘われて、いつの間にか口ずさんでいらっしゃる方も。「川の流れのように」では、平成生まれのTb.山川さんが、昭和の歌姫・美空ひばりさんについて詳しく紹介してくれました。美空ひばりさんご自身が、この曲に自身の人生を重ね、こんなことを言われたそうです。「一滴の雨が木の根をつたい、せせらぎが小川になる。水の流れがあっちにぶつかり、こっちに突き当たりしながらだんだん大きくなる。やがて大河になり、ゆっくりと海にたどり着く。」そのお話しを聞いた後で演奏されたこの曲。海を背景に悠々とした金管アンサンブルの柔らかな音色で、また生の演奏で聴くのは、また格別な感慨がありました。そして「いい日旅立ち」と、ホルンの小松さん選曲・編曲による「海 その愛」。加山雄三さんのこの曲は「会場から海が見えると聞いて、この曲がぴったりなのでは」と選んだそうです。豊かな響きの拡がる金管三重奏で聴くと、また雄大な大海原が目の前に広がるようでした。終演後いただいた感想の中にも「青い海をバックに楽器の生の音楽が聞くことができ、とても気持ちがなごんでよかったです。(中略)3つの楽器のハーモニーに体がつつみこまれて、心が軽くなっていくようでした。ありがとうございました」と書いてくださった方もいました。

最後の「浜辺の歌」はトロンボーン山川さんの編曲。歌詞の現代語訳も紹介くださいました。みなさんには歌詞をお配りしつつも「心のなかで一緒に歌ってくださいね」。演奏が始まると、やはり素敵な音色に誘われて、小さく歌う声があちこちから聴こえてきました。アンコールの拍手にお応えして演奏されたのは「花は咲く」。楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。

終演後お書きいただいたアンケートの中には、こんなメッセージがありました。「とても晴れやかな気分になりました。曲によっては、思わず(心のなかで)口ずさんでしまいました。とても楽しい時間をすごすことが出来ました。元気を貰いました。有難うございました。最後の『花は咲く』を聞いて、いろんな想いが浮かんで思わず涙が出ました」「とても良かった。もっともっと聴いていたい。毎年きてほしい。」そんな声もいただきながら、笑顔のみなさんをスタッフでお見送りしました。感染症の拡大によって、演奏の機会もほとんど失われていた、というBrass Trio仙台の櫻井さんからも、終演後「こんな時だからこそ音楽はやっぱり必要なんだなぁと改めて感じました」と。ご一緒できたのは1時間弱という短い時間ですが、音楽を聴きに行った・演奏に行った、というだけではない、なにか嬉しい時間を共に過ごす事ができた喜びと、双方向の心の交流が、そこには確かに生まれていたように思いました。