お知らせ

亘理「うたのひろば にゃん♪」_6月

2021.6.17

復興センターでは歌のサークルMorino花ccoのみなさんと協力して
亘理町で月に1回「うたのひろば にゃん♪」を開催しています。

宮城県のまん延防止等重点措置などの影響で、3か月ぶりの開催となりました。音楽リーダーのsop.岩瀬りゅう子さん、松本康子さん、ピアノの阿部恵美子さん、そしてスタッフのみなさんとお会いするのも久しぶりです。「ご無沙汰してました~」「本当に久しぶりですねぇ…」マスクはしたままですが、本当に嬉しい再会です。開場時間となり、次々に参加者のみなさんもいらっしゃいました。会場に入るなり「今日あるって聞いて、とっても楽しみにしてたの!」そんな風に嬉しそうに仰る方も。またこうして元気にお会い出来たことが、本当に嬉しく思えました。聞くと、亘理町は5月からワクチン接種が始まっており、既に2回目も終わった方々が何人か。「どうだった?」「それがね~」なんて情報交換も、顔を合わせてこそのことです。

たくさんの方が久しぶりの歌の会を楽しみにしてくださっていたご様子で、始まる頃までに、用意した歌詞カードがちょうど無くなりました。もちろん、いつもより椅子と椅子との間を離し、四方の窓を開けて換気をしながら「みなさん、お久しぶりです!お元気でしたか?」と明るい岩瀬さんの声で始まりました。「今日は久しぶりの開催ということで、たくさんの歌をご用意しましたので、どんどん行きます!」「はい、それでは、私は体操係だそうなので…」と松本さんにバトンタッチ。首をゆっくりぐるりと回したり、両手を前に、次は上に、その次は片方ずつ前と上とに。伸ばす時には、シューッと息を長く吐きながら伸ばします。腕だけでなく、一緒に背中も腰も伸びて、気持ちよく感じました。

まずはウォーミングアップに「ユモレスク」と「故郷の人々(スワニー河)」から。一度ずつ歌ってみた後は、左右に分かれて、同時に2つの曲を歌ってみました。「腰をすっと、2,3cm上に伸ばして歌いましょう~そんなにたくさんは伸びなくても大丈夫ですょ」みなさん、すっと姿勢が良くなりました。ドヴォルザークの「ユモレスク」にこんな日本語詞が付いていたんですね、弾むようなメロディはそれだけで気持が明るくなりました。次に「故郷の人々(スワニー河)」を輪唱してみました。「胸を広げてみてくださいね~」の岩瀬さんのひと声に、声も明るく変わりました。みなさんマスクをしながらではありますが、久しぶりとは思えないほど声量が豊かで、二度ほどキーボードのボリュームを阿部さんに上げていただいた程でした。

歌詞カードの1曲目は「埴生の宿」。岩瀬さん、松本さんがお二人で、二重唱を聴かせてくださいました。久しぶりに聴くプロの歌声に、みなさんうっとりと聴き入ります。「ピアノのトレモロが、鳥の鳴く声を表しているところがありました。わかりましたか?」頷くみなさんに「ここをお聴かせしたくて、この曲を選んだのでした!」誰もが知る「埴生の宿」にこんな美しい音楽が隠されていたとは、知りませんでした。続く「若葉」では「みなさんの元気な声を、もっと聴かせてくださいね。お互いにもっと元気がでるように!」と岩瀬さん。こちらも素敵なピアノの前奏が印象的な曲。阿部さんに、その前奏をもう一度弾いていただいて、みんなで味わって聴きました。続いては、「蛍」という同じ曲名の歌を、2曲続けて歌います。昭和7年に作曲された「蛍」は、始めの音が高いところから始まります。知らない方も何人かいる曲でしたが、「初めて歌う人も思いきって歌ってみましょう!どこに飛んで行ってもいいから!」と促されて、みなさん思いきって飛びこむように挑戦してみました。「ほ、ほ、ほ~たるが 灯をともす~♪の時には、蛍を呼ぶように、頬に手を当ててみましょう~」歌うのに精いっぱいでもありましたが、何人かはやまびこを呼ぶように、手を当てて歌ってみました。岩瀬さんが子供の頃「父がネギを持ちだして、その中に蛍を入れて明かりを眺めたのを思い出します」とのこと。また「昼間に見ると、蛍ってただの虫なんですよね、夜になって光ると、なんとも雅なんですけどね~」なんて話しも飛び出しました。もう1曲のよく知られた「蛍」は、みんなでア・カペラで。3人で歌う輪唱バージョンもあるのだそうで、次回聴かせていただける?ことになりそうです。

ここまで歌い続けたところで、松本さんが1曲、小林秀雄の「日記帳」という歌を聴かせてくださいました。「日本歌曲への苦手意識があったのですが、この曲を勉強して、それがやっと克服できた…かな?という思い出の一曲です」とのこと。青年の思いの詰まった、なんとも若く、せつない青春の1ページが垣間見えるような歌。そんな風に聴こえたのも、松本さんのたっぷりとして豊かな声と表現だからこそ、でした。会場いっぱいに拡がった生の響きは本当に久しぶりで、「みなさん、このままもっともっと聴いていたいような感じですが…」と岩瀬さんが仰るほど、客席の誰もが歌の世界の余韻に浸っていました。

後半はぐぐっとギアを入れ直して…「毬と殿様」に。1番は知っている方も多かったようですが、なんと5番まで歌詞がありました!そして“てんてん手毬”は最後“山のみかん”になったのだそうです。へぇ~!知らなかった~という声も聞こえてきました。「思い出」というイングランド民謡は、「ロング・ロング・アゴー」というタイトルを聞いたことのある方もいるのではないでしょうか?日本語詞にもいくつかあるそうで、時代と共にその時々に使われた言葉で、歌われてきたようです。最後は「月の砂漠」を。大正12年に作られたこの歌は、今聴いてもちっとも古びた感じがしません。砂漠を進む2頭のらくだに乗った王子様とお姫様。その情景を歌った短い歌詞の中に、大きな月の光や、砂漠を渡る風など様々な情景が浮かんでくるようでした。

最後は、はたよしこ作詞 小椋佳作曲の「ぼくをだいて」という歌を、岩瀬さんが歌ってくださいました。「コミュニケーションやスキンシップのとれない、こんな時だからこそ、と思って選びました」。由紀さおりさん、安田祥子さんが歌われているこの曲は、なんとも優しい子守歌のような歌。もしかしたら、なかなか会えなくなってしまった、お孫さんや娘さんのことを思い出しながら聴かれた方も、いたかもしれません。1時間ぴったりとなった、ひさしぶりの「うたのひろば にゃん♪」、楽しい時間はあっという間でした。「生活のなかでも、ちょっとした時に、ぜひ歌を思い出してくださいね!」岩瀬さんのそんな言葉で、お開きとなりました。また来月も、みなさんと元気にお会いできますように!(この事業は令和3年度宮城県NPO等による心の復興支援事業補助金を受けて実施しました。)