お知らせ
荒井東「音楽サロン」_10月
- 2021.10.19
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仙台市若林区にある復興公営住宅である荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から音楽を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)緊急事態宣言が出された影響もあり、荒井東市営住宅の『音楽サロン』は2カ月ぶりの開催となりました。前回はまだ梅雨明け前でしたが、本日訪れた荒井東市営住宅の花壇ではコキアが真っ赤に色づき、秋の景色に変わっていました。
音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さん、ピアノ田村聡子さんの装いも、前回の爽やかなブルーから秋らしい色合いに。来る芸術の秋、みんなで音楽を楽しめたらと思います。恒例の歌う前のウォーミングアップですが、今日はラジオ体操を取り入れました。久しぶりにやる人も多かったと思いますが、後藤さんがきちんと号令をかけてくれていたのでスムーズに動けていました。いったん動き始めると体も思い出すようで、田村さんが弾く懐かしいメロディに合わせて気持ち良く体を動かしていました。
さて、まずはみんなで声を出して歌いましょう。曲は『ソーラン節』と『証城寺の狸』です。
このうち『証城寺の狸』は、千葉県の證誠寺に伝わる狸囃子伝説がモチーフになっているのだとか。これは寺の境内で100匹ばかりの狸が歌い踊っているのを見た住職が、三味線を弾きながらその輪に加わったという内容のお話です。それを聞いた参加者から「あ、だから<和尚さんに負けるな>って歌詞なんだ!」と声が上がり、周りの人もそうか、なるほど、と頷いていました。小さい頃に覚えたまま歌っていた曲でも、改めて調べてみると新しい発見があるものですね。後半は音楽リーダーによるミニコンサートをお送りしました。1曲目の『かもめが翔んだ日』では手拍子をする人、マスクの下で一緒に口ずさむ人など、思い思いに楽しんでいました。
2曲目は過ぎた夏を惜しむ気持ちを込めて『少年時代』をお届け。夏の盛りには早く終わらないかな、と思っていた夏ですが、いざ過ぎ去ってしまうとどこか寂しいような気持ちになりますね。田村さんも伴奏を弾きながら歌に加わり、後藤さんとのハーモニーが心地よく耳に届きます。曲が終わると「ハーモニーがすてきですねぇ」とうっとりと呟いている人がいました。お次は田村さんが『世界の車窓から』を弾いてくれました。同名の番組のテーマソングですが、番組で流れる際はそのとき紹介する国や景色によって楽器の編成を変えているんだそうです。優雅で軽やかな調べを聴いていると車窓を流れる景色が目に浮かぶようで、どこかに旅に出たい気持ちになりました。
その後は後藤さんが再登場して、昭和の薫り漂うバラード『恋に落ちて』とエキゾチックな旋律が印象的な『異邦人』を歌ってくれました。
『恋に落ちて』では<ダイヤル回して手を止めた>と歌いながら黒電話のダイヤルを回すしぐさをした後藤さん。「昔はこうやって電話をかけてましたよね?」の言葉にみなさんウンウン頷いていました。電話も今やタッチパネルで操作するようになりました。ちょっとした歌詞の中にも時代の変化があらわれていますね。
アンコールは『あの素晴しい愛をもう一度』。歌詞の内容は切ないのに、感傷的にはならないメロディのおかげで不思議と清々しい気持ちになれる曲です。楽しそうに手拍子をしながら、サビの部分を一緒に歌っている人も何人かいました。久しぶりの開催でしたが、途中から参加してくれる方もいて気付けば席が埋まっていました。帰り際に「今月はできてよかったね」「また来るから」と声をかけてくれる方もいて、嬉しい限りです。
状況次第ではありますが、これからも音楽でみなさんと繋がる場を続けていけたらと思います。また来月もよろしくお願いします!