お知らせ

亘理「うたのひろば にゃん♪」_10月

2021.10.21

復興センターでは歌のサークルMorino花ccoのみなさんと協力して
宮城県亘理町で月に1回「うたのひろば にゃん♪」を開催しています。

前日の夜に降っていた雨はすっかり上がり、気持ちのいい青空が広がっていました。
会場のコミュニティセンターには大きなかぼちゃのオブジェが飾られていました。10月31日はハロウィンということで、この会のお世話をしてくれる村上さんが用意してくれたものです。音楽リーダーを務める仙台オペラ協会のソプラノ岩瀬りゅう子さんと松本康子さん、ピアノの阿部恵美子さんにも魔女の帽子やカチューシャが用意されていて、参加者のみなさんも「あら可愛い~」とニコニコでした。いつもとちょっと装いが違うお三方と一緒に、今日も楽しく歌っていきましょう。

1曲目は『白い色は恋人の色』。当時17歳だったベッツイ&クリスの、まだ幼さの残る声のハーモニーが印象深い曲です。岩瀬さんが「みなさんも2人のように、可愛らしく歌ってくださいね」とお願いしたかいあってか、みなさん秋晴れの空にぴったりの、さわやかで可愛らしい歌声を響かせていました。
続いて歌った2曲は、阿部さんによるピアノ伴奏もとっても素敵でした。最初の『大きな古時計』では、時計の針が動く音のあと、柱時計が<ボーン、ボーン>と鳴る音がピアノで表現されていました。次の『見上げてごらん夜の星を』の、夜空で星が瞬いているような繊細で美しい旋律が歌声を支えてくれていました。どちらもしっとりとしたメロディで、秋がよく似合う曲でしたね。

ちょっと空気がしんみりしたところで、松本さんがちょっと愉快で、気分が明るくなる曲を披露してくれました。
松本:岩瀬先生、わたし、何を歌うんでしたっけ?
岩瀬:えぇ?ほら、アレでしょ?
松本:あ、そうか!アレだ、アレ!
阿部:♪ ジャジャーン ♪
なんて小芝居を挟みつつ松本さんが歌い出したのは『Ale Ale Ale』。
タンゴのリズムで歌われる、人の名前が、店の名前が出てこない・・・ほら、アレだよアレ!という誰でも「あー、あるある!」と共感できる歌詞に、あちこちからクスクスと笑い声が上がりました。
笑いを誘う歌詞に意識が向きがちですが、早いテンポでたくさんの言葉を言う必要があって歌うのはとても大変です。それを歌いながら、さらに間奏で華麗なステップまで踏む松本さん、さすがです!

盛り上がったところで、後半も楽しく歌っていきましょう。続いて登場したのは『学生時代』と『長崎の鐘』の2曲で、これまたどちらもセンチメンタルな秋にぴったりの曲です。
『学生時代』では、阿部さんがキーボードの音をパイプオルガンに変えて前奏を弾いてくれました。荘厳な音色に、静謐なチャペルの様子がぱっと頭に浮かび、曲の世界観により深く浸りながら歌うことができました。
『長崎の鐘』は、朝の連続テレビ小説の影響でより広く知られるようになった古関裕而作品の1つです。この曲は短調の悲し気なメロディで始まり、最後に転調して明るいメロディへと変わります。その特徴について岩瀬さんが「悲しい歌になりそうなのに、長調に変わって明るくなって終わるから、ほっとしますね」とお話しすると参加者は深く頷いていました。

最後に岩瀬さんが、リクエストがあったという『落葉松』を歌ってくれました。曲が始まるや、みなさんの意識が岩瀬さんと阿部さんの演奏に集中するのが感じられました。同じ言葉をときに静かに、ときに激しい調子で歌う岩瀬さんの声が雨水のように心の奥にしみこんでくるような心地がしました。

会が終わり、何人かが玄関先で「あれ、あれ、で分かるから面白いね」「『落葉松』よかったわぁ、大好きなの」と感想を言い合っていました。懐かしい歌から初めての歌まで、色んな歌との出会いがある「うたのひろば   にゃん♪」を楽しんでいただけたようで嬉しいです。また来月もぜひ、よろしくお願いします!(この事業は令和3年度宮城県NPO等による心の復興支援事業補助金を受けて実施しました。)