お知らせ

メモリアルコンサートvol.33

2021.11.11

音楽の力による復興センター・東北では
東日本大震災の月命日にあたる11日に、市民のみなさんとともに
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考え、
「メモリアルコンサート」を企画制作しています。
(主催=仙台市/協力=せんだい3.11メモリアル交流館)

本日の出演は仙台在住のピアニスト山形佑輔さんです。コロナウィルス感染症が流行する前は、山形さんは仙台市内の復興公営住宅に赴いて、みんなで一緒に歌う会の伴奏を務めてくださっていました。彼の気さくで朗らかな雰囲気がその会をいっそう和やかなものにして、参加する方々の笑い声が集会所に響いていたのを思い出します。再開が本当に待ち遠しいですね。

さて、コンサートの幕開けはバッハの『プレリュード BWV846』でした。グノー『アヴェ・マリア』に引用されたことから、山形さんは「祈りをこめて、この曲を選びました」と言いました。
続いて、「秋は月が一段と綺麗に見える季節ですね」と、ドビュッシー『月の光』を演奏しました。それぞれの月を思い浮かべているのでしょうか、目を閉じて聴き入っている人がたくさんいました。
3曲目はがらりと雰囲気を変えての『コーヒー・ルンバ』です。軽快なリズムに思わず知らず体を揺らして聴いている方がいました。切れの良い演奏に、わっと大きな拍手が沸きました。
ショパン『ノクターン第20番』は日本人の心にしみる美しいメロディーを持っていると説明した後に、山形さんは「僕は、この曲は人生の縮図のようだと思います」と語りました。「冒頭は暗く沈んでいるようで、中間部は走馬灯のようにいろいろと思い出されることがあります。でも最後には希望の光があるように感じられて、そこが好きなんです」と語りました。

このほかにポップス、タンゴ、文部省唱歌とバラエティに富んだ曲の力強くかつ軽やかな演奏と、楽しいトークでお客さんはすっかり魅了されていました。
「人と人との出会いが大事だと改めて感じるこの頃です。コロナ禍にも関わらずご来場くださったみなさんに感謝します」と御礼を述べ、アンコールに『知床旅情』を演奏しました。この歌は昭和の名優・森繁久彌が、映画のロケ地でお世話になった地元の人たちの人情に感激して作ったものだそうです。

終演後に観客から寄せられたメッセージには、
「山形さんのピアノは、優しく、美しく、温かく、心が慰められます」
「力強さと優しさに心を洗われました。ついでに涙も出てしまいました」
「お人柄が伝わるような演奏でした。ありがとうございました」
とありました。
そして、初対面のお客さんから花束が贈られ、山形さんは思いがけないサプライズににっこりしていました。
山形さん、ご来場のみなさん、どうもありがとうございました!