お知らせ
田子西「うたカフェ♪」_5月
- 2022.5.20
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仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌を楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)今日の仙台は気温が上がり、蒸し暑さを感じます。梅雨も間近かと思われる体感の中、集会所前の藤棚には立派な花房が揺れていました。見とれるスタッフに「今週末には全部落として、剪定するんです」と町内会長さん。細やかに手をかけているからこそ、こんなにも綺麗に咲いてくれるんですね。
本日の「うたカフェ」、音楽リーダーを務めるのは仙台オペラ協会ソプラノの松本康子さんと岩瀬りゅう子さん。そしていつもピアノ伴奏を務めている富樫さんは本日お休みのため、亘理でご一緒している阿部恵美子さんがピンチヒッターとして参加してくれました。喫茶「ひこ」のマスター・西垣信彦さんも加わって、さっそく始めましょう!
最初は『バスごっこ』と『肩たたき』の2曲を歌いました。どちらの曲も歌に合わせて手を動かしたり足を鳴らしたりと、体を使って楽しみました。続いて『みかんの花咲く丘』を歌うときには、作曲した海沼實がオペラ「椿姫」の『乾杯の歌』に着想を得てメロディを作ったという豆知識を教えてもらいました。松本さんが教えている合唱団で「シャンパングラスを持っているつもりで歌ってみましょう」と言ったらとても華やかな感じに歌えるようになった、ということで、本来の伴奏で歌った後、『乾杯の歌』の伴奏でも歌ってみました。歌のメロディは同じなのに『乾杯の歌』の伴奏だととても優雅な気分で歌えて、声量もぐぐっとアップしたようでした。
最後に歌ったのは『茶摘』でした。こちらは手遊びをしながら歌った人が多いようで、歌いながら手を動かしている人が何人かいました。状況が落ち着いたら、今度はみんなで手遊びしながら歌いたいですね。
小休止をはさんで、お待ちかねのミニコンサートの時間です。
松本さんが歌ってくれたのは『ひらがなの生き方』という曲。「こういう生き方ができればいいな」という想いが五十音を織り込んだ歌詞でつづられています。「田子西に来るようになってから、泣かないように歌わなくちゃいけない曲をたくさん歌うようになりました」とお話ししてくれた松本さん。今日も泣かないように頑張って歌います、と宣言して歌い始めたのですが、途中でこらえきれずに声を震わせた一節がありました。まんぞくしています みんなのおかげさまだと
むすばれたごえんだと めぐまれているからだと
もったいないことだと歌い終わりに「皆さんのことを思って、ご縁だなぁと思ったらどうしても…」涙を拭いた松本さん。それだけの気持ちが込められた歌声に参加者も涙をにじませ、大きな拍手を贈りました。
岩瀬さんが歌ってくれたのはさだまさしさんの『Birthday』。こちらは松本さんからのリクエストだそうで、「私は泣いて歌えなくなってしまうから、岩瀬さんぜひ歌ってください」とお願いされたのだとか(実際、リハーサルで聴いた松本さんはぽろぽろと涙をこぼしていました)。この曲の歌詞に何度も出てくる「ありがとう」という言葉には、心を温めてくれる力があるように思います。『ひらがなの生き方』と『Birthday』、自分に関わる様々な人や物事に感謝する2曲に、温かく優しい気持ちになりました。
しかしながら「しんみりして終わるのはらしくない!」ということで、ラストは松本さん・岩瀬さんの二重唱による『乾杯の歌』で幕を閉じました。泣いたり笑ったりと盛り沢山だったプログラムの華やかなフィナーレに、参加者からは大きな大きな拍手が沸きました。うたカフェでは入場時に検温をしていますが、参加者の何人かが帰りがけにも何気なく測ってみたところ、みなさん体温が上がっていました。「いっぱい歌ったからね」とニコニコしているみなさんの様子に、本当に歌は健康づくりにもなるんだなぁと実感しました。また次回もお待ちしていますね。