お知らせ

亘理「うたのひろば にゃん♪」_6月

2022.6.17

復興センターでは歌のサークルMorino花ccoのみなさんと協力して
宮城県亘理町で月に1回「うたのひろば にゃん♪」を開催しています。

いつまでも肌寒さが残る気候が続いていた東北も、今日は朝からこの時季らしい蒸し暑さ。涼しさになれていた体には少しこたえます。暑さで出足が鈍るかと思いましたが、だいぶ早くから参加者がやって来て、あっという間に20人が集まりました。音楽リーダーを務めるのは仙台オペラ協会のソプラノ岩瀬りゅう子さんと松本康子さん、ピアノの阿部恵美子さんの3人です。
今日のオープニングで歌ったのは『ボケない音頭』という曲です。どんな曲なのか、スタッフは知らなかったのですが、岩瀬さんが『お座敷小唄』の替え歌なんです、と説明すると参加者からは「あぁ~」と声が上がり、メロディを確認することもなく歌えていました。気持ちが若い人、趣味がある人、人のお世話が好きな人はぼけません、と色々な<ぼけない要素>を上げている歌詞には「なるほど」と思わせるものがたくさんありました。

楽しい小唄でウォーミングアップできたところで、今日のプログラムにまいりましょう。最初に歌ったのは『絵日傘』という曲。童謡ですが、日本舞踊ではお子さん向けのお稽古曲として人気があるそうです。せっかくそういう曲を歌うので、と曲の終わりに日舞のような手振りでポーズを決めて、優雅な雰囲気を味わいました。続いて歌った『椰子の実』では、<実をとりて胸にあつれば 新たなり流離の憂い>で始まる3番を歌うときに、なおいっそう声が大きくなったように感じました。その歌声に岩瀬さんも「素敵ですねぇ」と拍手を贈っていました。
『柔道一代』は、家庭や職場など、色んなところで頑張っているみなさんに、一緒に頑張りましょう!という気持ちを伝えたくて選んだ1曲だそうです。全員でも歌いましたが、せっかくなので男性に歌ってほしいということで、3人の男性参加者だけで歌っていただきました。少人数ながら張りのあるすてきな声で堂々と歌ってくれて、聴いていた女性陣は「いい声ねぇ」と賛辞を送っていました。また、今年9月に行われる仙台オペラ協会本公演『コジ・ファン・トゥッテ』で10代の役を演じることになったという岩瀬さん。自分が10代だった頃はどんなことをしていたかしら、と振り返っているなかで、みなさんにもその頃に思いを馳せてもらおうと『美しい十代』を一緒に歌うことを思いついたそうです。曲名を聞くや「懐かしいね」「これが出たとき、俺16だったよ」と言い合う声が聞こえました。

6月といえばジューンブライドということで、ミニコンサートでは結婚にちなんだ曲を歌ってくれました。
松本さんが歌ったのは、オペラ「ジャンニスキッキ」より『私のお父さん』です。父に恋人との結婚を許してもらえない娘が、彼と結婚できないのなら橋から身を投げるとまで言って父親に訴えかける有名なアリアで、オペラの筋を知らなくても耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。オペラは最後、父親は結婚を許し、娘とその恋人に大変な財産を渡して幕を閉じるのですが、歌い終わった松本さんは「私もお父さんが大好きでしたけど、財産は譲ってくれませんでした」と言ってみんなを笑わせました。
岩瀬さんが歌ったのは、花嫁を送り出す母の気持ちを歌った『うれしくてさみしい日』でした。先日岩沼の「うたのひろば にゃん♪」で、松本さんが『幸せをフォーエバー』という曲を歌いましたが、その曲をリクエストした女性とそのお母様は亘理にも参加してくれているので、今回は岩瀬さんがお母様に向けて歌おうと、この曲を選んだのだとか。ただただ娘夫婦の幸せを願うその歌に、お母様の目には涙がにじんでいたそうです。

今日のうたごえひろば にゃん♪はこれにて終了。これからジメジメしてくる季節、歌って気分を晴れやかに過ごしましょう。次回の開催は7月21日の予定です。すっかり夏本番となっているでしょうから、水分補給用の飲み物を忘れずにご参加くださいませ!〈この公演は、令和4年度宮城県NPO等による心の復興支援事業補助金を受けて実施しました〉