お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_6月

2022.6.17

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅ではk
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌を楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

今日の仙台は雨こそ降らなかったものの、この時期らしい蒸し暑さ。少し動くと汗がにじんできますが、吹く風はわりと涼しいので人心地つけます。敷地内のあちらこちらにシロツメクサが白い花を咲かせていて、その可愛らしい姿にも心がほっと和みますね。
今日のうたカフェにも、暑さにめげずたくさんの方が集まってくれました。今日は町内会長さんがご用事でお休みだったので、「喫茶ひこ」のマスター西垣信彦さん以外、参加者は全員女性。まるで女子高のような雰囲気で、スタート前の世間話もいつもより賑やかだったような気がします(もちろんマスクはしっかりしています)その楽し気な様子に、音楽リーダーを務める仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ富樫範子さんのお三方も笑顔を見せていました。

さて、本日のうたカフェ最初の曲は『め組のひと』です。しかも歌うだけではなく、松本さんの熱心な指導でダンスにも挑戦することに。サビはもちろんメロディ部分まで、手をこうしてああしてとたくさんの振り付けを教えてもらいました。そのボリュームにみなさん四苦八苦してはいましたが、田子西のみなさんは知らない曲にも果敢に取り組むチャレンジ精神があります。この曲もあまりなじみがないのでは、ましてや踊りまでは難しいのでは・・・と少し心配でしたが、始まってみるとみなさんノリノリで踊ってくれました。松本さんが「ここだけでもやってください!」とお願いしていた<めっ!>のポーズもびしっと決まり、気持ちがよかったですね。踊り終えたみなさんもニコニコしていました。その勢いのままで、『雪山讃歌』の替え歌『長生きしよう』を歌いました。ダンスでしっかりウォーミングアップしたおかげで、とてもよく声が出ていました。「いま歌って踊ったので、きっと長生きできますよ!」という岩瀬さんに、みなさんウンウンと頷いていました。

 

 

お次は少しクールダウンして『夏の思い出』をゆったりとした心持ちで歌いましょう。間もなく本格的な夏を迎えるこの時期にピッタリの曲ですね。実は尾瀬に水芭蕉が咲くのは5月末の頃なので、暑い盛りに見られる光景ではないようです。それでも水辺に凛と咲く水芭蕉の姿を思い浮かべると、ほんのいっとき暑さがやわらぐ気がします。さらに同じ曲を、松本さんと岩瀬さんが二重唱で歌ってくれました。お二人のハーモニーを聴いていると、水面を渡って清涼な風が吹いてくるような、さわやかな気持ちになりました。暑さばかりに気がいって「嫌だなぁ」と思うことも多い夏ですが、こういった音楽を聴くとその訪れが待ち遠しく感じられます。お次は今週末の父の日にちなんで『グリーン・グリーン』を歌いました。知らない人が多いのではないかしら、とお試しで歌ってみたところ、思ったよりみなさん歌えていたので松本さんもほっとひと安心。明るいメロディをみんなで楽しく歌いました。
今回「お父さん」をテーマにした曲を探した松本さんは、お母さんに関する曲に比べてかなり少ないことに驚いたそうです。言われてみると確かに「父」がメインの曲はあまり思いつきません。この曲の作詞をした片岡輝も、お父さんの歌がないからこの曲を作ったそうで、昔からその傾向はあったようですね。とにかくお父さんっ子だったという松本さんは「お母さんにありがとうって言う歌はいっぱいあるのに」と残念そうでした。

たくさん歌ったので、ここで少し休憩です。喉を休める間、富樫さんが『雨に唄えば』をピアノで演奏してくれました。雨粒の音のようなイントロに続く陽気なメロディに、自然とリズムをとりながら聴く人が何人もいました。この先しばらくはぐずぐずしたお天気が続くでしょうが、すてきな音楽を聴いて気持ちだけでも明るく過ごしたいものですね。
本日ラストの曲は、ジューンブライドということで『花嫁』を歌いました。「野菊の花束だけを持って嫁いだ人は?」にはさすがに誰も手を上げませんでしたが、ご自分の結婚のときを思い出しながら歌った人もいるのではないでしょうか。
今日のミニコンサートもジューンブライド特集でお送りしました。松本さんはMISIAの『幸せをフォーエバー』という、結婚する女性目線の曲を歌いました。他会場でリクエストされた曲ですが、あまり歌ったことのない曲だったのでお披露目できるまでに随分練習したので、田子西のみなさんにも是非聴いてもらいたいと思って選んだそうです。育ててくれた両親への感謝と、新しい未来への希望を歌う松本さんの声に、みなさん真剣に耳を傾けていました。
その曲へのアンサーソングのように岩瀬さんが歌ったのは、『うれしくてさみしい日』。結婚する娘に対する母の想いを歌った曲で、<今日が最高に うれしくてさみしい日>という歌詞にはぐっと胸が締め付けられます。参加者の中には娘さんを送り出した経験がある人もいたでしょう。それぞれ自分たちの経験をなぞりながら聴き入っていました。
そしてウェディングベルを思わせる後奏では、新郎役の松本さんが新婦役の岩瀬さんとともにバージンロードを歩く小芝居が。それまでのどこかしんみりとした空気が一変、あちこちから「おめでとー!」の声と拍手がわき、みんなで大いに笑いました。

 

 

最後は楽しく笑顔で終わるのが田子西のうたカフェです。「今日はいいものが見れたわ~」とクスクス笑いながら帰っていくみなさんはとっても楽しそうな様子で、こちらも嬉しくなりました。歌うことや踊ることはもちろん、こうして声を上げてみんなで笑うことも健康につながります。これからも歌って笑って、元気に過ごしましょうね。