お知らせ
石巻市渡波地区へ
- 2022.8.2
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東日本大震災の津波で被害のあった宮城県石巻市渡波地区に、共生型デイサービス施設「のさり」があります。
障害のある人やお年寄りも含め、誰でも気軽に立ち寄れる場所を創りたいと3年前にオープンしました。かつて渡波に住んでいて、今は遠くに移転したけれども「ここに来れば懐かしい顔に会えるから」と、楽しみにはるばるいらっしゃる方もあるそうです。朝からじりじりと気温が上がる今日、創立3周年の記念として「さんさんマリンバコンサート」をお届けに伺いました。出演はこころ音(マリンバ熊谷昇子さん、パーカッション布田恭子さん)のお二人です。
「こんなに大きいんだ!」「この歳になって初めて見たよ」とマリンバの大きさに驚きの声が上がりました。また、さまざまな小物打楽器にも興味を示して「これ、何?」「へぇこれも楽器なんだ!」と面白そうに眺めていました。プログラムは軽快に『トリッチ・トラッチ・ポルカ』で始まり、『マンハッタン』『タイプライター』など打楽器ならではの楽しさ満載の曲が披露されました。『あんたがたどこさ』では手遊びを取り入れて、ちょっといい汗かきました。アンコールの『北国の春』では皆さんの温かい手拍子とマスク越しにかすかに聞こえる歌声で共演しました。一緒に歌えるうたがあるって、いいものですね。
「たのしかった~」「いやぁ生きててよかったねえ」と、お帰りになるときはどの方も笑顔でした。そんな利用者さんを演奏家は名残惜しそうに手を振って見送っていました。
奥のキッチンで昼食の支度をしていたスタッフさんも「壁越しに聞いていて涙が出てきました」と言っていました。
「のさり」とは九州地方の言葉で「良いことも悪いことも含めた、天からの授かりもの」という意味で、良いことも悪いことも受け止めて、心穏やかに落ち着いた日常を過ごせたら…との思いを込めてつけた名前だそうです。東日本大震災は私たちにとって本当に大きな「のさり」でした。それも受け止めてこれからをどう生きてゆくか、人としてこころ豊かに生きるとはどういうことか、大きな問いはいまだに残っています。戦争のこと、疫病のこと、そのほか気持ちがざわつくニュースがあふれる昨今ですが、利用者さんとスタッフさん双方の様子からは、ここに集う人たちがほっとひと息つける場所になっているんだなあと感じました。地域の居場所としてこれからも頑張ってくださいね!〈この公演は、令和4年度宮城県NPO等による心の復興支援事業補助金を受けて実施しました〉