お知らせ

荒井東「音楽サロン」_8月

2022.8.16

仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から音楽を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

相変わらずの暑さが続く今日この頃。おまけに音楽サロンの開催直前に雨が降り出し、ますます不快指数が上がります。音楽リーダーのお二人はそんなときだからこそ!と、今日は浴衣姿で登場しました。ソプラノの鈴木真衣さんは生成色の浴衣を爽やかに、ピアノの田村聡子さんは紺色の浴衣をきりりと着こなしていて、目にも涼やかな装いに参加者からも「あら、素敵~」と歓声が上がりました。ある女性は、<やりましょう盆踊り>という復興支援プロジェクトに参加した際にもらった浴衣を、今も大事にとってあることを話してくれ、周りの方と「私たちも浴衣を着てくればよかったわね」と言っていました。ドレスコードがある音楽サロン、面白いかもしれませんね!

今日みんなで歌ったのは『どじょっこふなっこ』と『赤とんぼ』の2曲でした。このうち『どじょっこふなっこ』は秋田県の民謡を混声合唱に作曲して広まった曲だけあって、色んなものに ”~っこ” をつけるなど、東北の人にとっては馴染み深い語感の歌詞になっています。そんな歌詞の中で、「氷」にという単語に ”しがこ” と読み仮名をふっていましたが、参加者からは「これは ”すがっこ” じゃない?」と疑問の声が。確かに、東北の人のナチュラルな発音を文字にすると ”すがっこ” のほうが近いかも?じゃあ「船っこ」も ”ふねっこ” じゃなくて ”ふなっこ” じゃない?とみんなで盛り上がりました。

ミニコンサートでは、今の季節にぴったりの曲を聴かせてくれました。
ちょうど歌詞に八月とあるので、と歌ってくれたのは『少年時代』です。田村さんもほぼフルコーラスで参加し、美しいハーモニーを響かせました。子どもの頃の夏の日々には、大人よりたくさんの<楽しい>が詰まっていたように思います。お二人の演奏に聴き入り、あるいは一緒に口ずさみながら、それぞれご自身の夏の思い出を振り返っていたのではないでしょうか。この曲の歌詞には【風あざみ】【宵かがり】といった印象的な言葉が出てきますが、これらは作詞した井上陽水による造語なんだそうです。「造語でも、他の歌詞と相まってどんな情景を表しているのかよく分かるから、井上陽水さんってすごいですよね」という鈴木さんの言葉に、参加者も頷いていました。一方、美空ひばりの『真赤な太陽』は湿り気のある日本の夏にピッタリな一曲。鈴木さんは「このギラギラした感じが、日本人による、日本の夏のための曲という感じがします」と話していました。
田村さんはソロ演奏で『夏は来ぬ』を弾いてくれました。歌の会でも取り扱うことが多い唱歌、一緒に歌う機会は多いですが、楽器の演奏でじっくり聴く機会は意外と少ないかもしれません。ちょっとおしゃれにアレンジされたメロディを、新鮮な気持ちで楽しみました。
プログラム最後の曲は『Summer time』。ジャズやポップスなど、幅広いジャンルで歌われるスタンダード・ナンバーですが、元々は「ポーギーとベス」というオペラの中で歌われる子守唄なんです。宴会芸として酒瓶を赤ちゃんに見立てて抱えながら歌うことがあるという鈴木さん、今日は酒瓶の写真を抱えて歌ってくれました。オペラアリアだけあって、声を張って高い音を歌う場面もあり、これが子守唄だと知った参加者から「赤ちゃん起きない!?」とツッコミが入ってみなさん大笑い。思わず吹き出した鈴木さんも「ジャズの『Summer time』のほうが、よく眠れるかもしれませんね」と同意していました。

アンコールは、前回リクエストいただいた『七夕おどり』でした。今年の荒井東の盆踊りは中止になってしまったそうなので、残念だったその気持ちを音楽サロンで晴らしてもらいたい!と振り付けも解説し、みんなで踊ってもらいました。近ごろは盆踊りを踊る機会も減っているようですが、みんなで踊るのはやっぱり楽しいですね。簡単な動きなのに体も温まって、健康にも良さそうです。

本日の音楽サロンもお楽しみいただけたでしょうか。今年の夏は特に暑いので、クーラーをつけて過ごす時間もいつもより長いかもしれません。熱中症予防のためにはもちろん必要なクーラーですが、体を冷やし続けるとどうしても血行が悪くなってしまいますね。そんなときは音楽サロンで取り上げた歌を歌ったり、七夕おどりを踊ったりして、体を温めてもらえたらと思います。
次回の音楽サロンは9月20日開催予定です。少しでも涼しくなっていることを祈りつつ、またお会いできるのを楽しみにしています!