お知らせ
亘理「うたのひろば にゃん♪」_9月
- 2022.9.15
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復興センターでは歌のサークルMorino花ccoのみなさんと協力して
宮城県亘理町で月に1回「うたのひろば にゃん♪」を開催しています。
〈この公演は、令和4年度宮城県NPO等による心の復興支援事業補助金を受けて実施しました〉秋がやってきそうでなかなか来ない今日この頃。朝晩の気温差が大きく体調を崩しやすい時期でもあるので、歌を歌って健康づくりに取り組みましょう!
本日音楽リーダーを務めるのは仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さんと、ピアノ阿部恵美さんのお二人。いつもならソプラノの岩瀬りゅう子さんも一緒ですが、週末に開かれる仙台オペラ協会の本公演の練習のため、今日はお休み。そんな岩瀬さんから「うたのひろば、お願いね!」と託されたという松本さんの脳裏にぱっと浮かんだのは、松本和子さんの『帰ってこいよ』だったとか。そこから発想を広げて『遠くへ行きたい』や出ていく恋人を見送る『勝手にしやがれ』といった歌謡曲をプログラムに取り入れました。
「”勝手にしやがれ”って強がってみたけど、やっぱり帰ってきてほしくなって」というストーリーで、故郷に帰るよう願う『帰れソレントへ』も歌いました。せっかくのカンツォーネなので、それらしく歌えるよう、松本さんが色々と歌い方のアドバイスをしてくれました。まず冒頭の短調のパートは一定の調子で歌うのではなく、2小節ごとに<盛り上がる→すぅっと抜くように>と繰り返して、揺れる感じを出すこと。長調に転調するところでは、イタリアの街の陽気で明るい光景が浮かぶように歌い、さらにテヌート(音の長さを十分に保つこと)を意識して音を強調すること。ラストはピアノ伴奏にのって思い切り歌うこと等々。ちょっとしたコツを意識するだけで曲の完成度がぐっと上がって、歌っていて気持ちがいいですね。
その次に歌ったのが、今日のプログラム構成を考えるスタートになった『帰ってこいよ』です。カンツォーネである『帰れソレントへ』はまっすぐ、朗々と歌うことが求められますが、『帰ってこいよ』ではビブラート・こぶし・ずり上げをどんどん入れていきましょう!と松本さん。「クラシックの曲でやると怒られる歌い方をやりたい放題できて、楽しくてしょうがないです!」とニッコリしていました。では歌いましょう!と阿部さんが前奏を弾き始めると、なんと三味線の音が鳴り出しました。電子ピアノで設定したそうですが、思いがけない三味線伴奏に参加者から「え~!?」と驚きの声が上がりました。珍しい三味線の音色と松本さんの気合の入った歌声に引っぱられて参加者の声量も上がっていきます。思いっきりこぶしをきかせて歌って、とてもスッキリしました。ここで松本さんが一曲歌ってくれました。「帰ってこなかった女性は、ニューオーリンズに辿りつきました・・・」と歌い出したのは『朝日のあたる家』。曲が始まった途端、この曲か!というように激しくうなずいている女性がいました。さっきまで<帰ってこいよ>とけなげに訴えていた松本さんが、表情から纏う雰囲気までガラリと変えて重々しく歌うのを、みなさん息をつめて聴いていました。
独白のような一曲のあとは、「やさぐれた感じになってしまったので、最後はみんなでおててつないで帰りましょう」ということで、ゆったりと『夕焼小焼』と歌いました。岩瀬さんがいないうたのひろばを無事に乗り切った松本。本番直前の練習を頑張っている岩瀬さんへの気持ちを込めて、松本さんが落ち込むと岩瀬さんが歌ってくれるという『ユー・レイズ・ミー・アップ』を最後に歌ってくれました。明るく前向きなメロディが気持ちのいい青空の下に響き、清々しい気分にさせてくれました。
本日松本さんが着ていた秋色ワンピースですが、常連さんからいただいたものだとか。偶然ミニコンサート用に選んだ『朝日のあたる家』のイメージにぴったりだったこともあり、本番前に着替えたんだそうです。そんな交流も楽しみつつ、これからもみんなで楽しく歌う会を続けていきたいと思います。