お知らせ

大槌おしゃっち「うだっこきぐべし♪おでんせ!コンサート」

2022.9.2

声楽家・アルトの谷地畝晶子さん、ピアノの阿部夕季恵さんと、釜石・大槌ツアー2会場目は、大槌町文化交流センターおしゃっちの、多目的ホールです〈主催:(公財)音楽の力による復興センター・東北 協力:(社福)大槌町社会福祉協議会、(一社)槌音〉。昨年11月に開催した際は、夜の開催だったこともあってか、実は10名ほどしか集まらなかった会場でした。コロナ禍、自主開催の会場は難しいのかなと、今年3月は開催を見送ったものの、町方(まちかた)地区の災害公営住宅は集会所のないところも多く、自治会もまだ結成されていなかったり、コロナ禍で集まりを持てていなかったりが続き、すっかり引き篭もってしまっている方たちが多いとのこと。「何か、こんな時だからこそ、外に出て来るきっかけをつくりたい」という大槌町社会福祉協議会さんのお声もあり、それならやはり、おしゃっちでも開催してみよう、と、週に一度、社協さんが高齢者へお弁当を届けながら個別訪問されるタイミングに合わせて、300枚のチラシを託し、開催することになりました。また今回は、岩手復興局盛岡支所および、岩手県復興くらし再建課より視察をいただきました。

今回も「コーラス大槌」で歌っていらっしゃるKさんとHさんに受付を手伝っていただきました。お客さんは来てくださるのか、どんなコンサートになるかと、ドキドキしながら準備をしていましたが、なんと、開場時間30分前には、既に何人もの方が、廊下で待っててくださいました!そして開演20分前には、ほとんどの方が着席されており…「あら、もうみんな待ちくたびれてしまうね、始まる前に、脳トレか何か、少しやった方がいいかしらね」とKさん。次回は、前もって、そのつもりでお願いしますね!蓋を開けてみれば、事前に申込みいただいていた人数と、同じ数の当日飛込みの来場者があるという嬉しい結果となりました!直前まで、社会福祉協議会や、民生委員さんなど、お声掛けいただいたことが功を奏したのかもしれません。顔見知りの多い受付のお二人は「あれ~誰かと思ったら!」みなさに声を掛けられていました。久しぶりに顔を合わせる方もいらしたようで、朗らかな声が響きます。

多くのお客さまをお迎えして、いよいよコンサートが始まりました。ここは10公演ものツアーの中で、唯一、グランドピアノのある会場です。やはり、歌とのアンサンブルも、ピアノ独奏で聴くショパンの「マズルカ」や「渚のアデリーヌ」「黄昏のビギン」も、楽器の持つ表現力が幅広く、随所にピアノ”らしさ”が、また阿部さんがどんな風にその曲を演奏したいのかが、より感じられる演奏でした。「愛の讃歌」もグランドピアノによる伴奏で聴くと、よりスケールの大きいな壮大な愛の物語として伝わっていたような…。グランドピアノでのサポートを受けて、谷地畝さんの歌の世界もまた、より広がりをもって聴こえてきました。

 

そして、ここでももちろん「ラジオ体操第一」。谷地畝さんも「ドレスを着てラジオ体操するのは、初めてなんですけども、結構、身体があったかくなりますね!」そんな朗らかさに、客席からもどっと笑い声が起こります。視察にいらしたみなさんも、もちろん一緒にラジオ体操!住民のみなさんと一緒になって、ご参加いただき、とても和やかな会場となりました。

本編最後は「みなさん、ハワイに行かれたことのある方…いらっしゃいますか?私は行ったことがないのですが、憧れはあって、そしてコロナ禍でなかなか旅に出ることも難しくなってしまったので、気分だけでも…」と、レイを掛けての「憧れのハワイ航路」を。「このレイを掛けると、不思議と楽しくなってきて、踊りたくなってしまうんですけれど…もし…フラダンスなどされている方がいらっしゃいましたら、ご一緒に…」…すると、みなさん、ザワザワザワ…。なんと、お客様のなかに、フラを教えていらっしゃる方が!少し恥ずかしそうにされていたものの、みなさんに促されるままに、出てきてくださり、レイをかけてその場で急遽共演いただけることに!この写真だけでは、その時の雰囲気が伝わりきらないのが残念!なのですが、リハーサルなしとは思えないほどに、するりと音楽に乗って、美しくなめらかに、歌詞に合わせたフリも付けて、とっても素敵なフラダンスを披露してくださいました!居合わせたみなさんも、演奏されたお二人もびっくりでした!

後から聞けば、普段から、伝統的なフラの曲ばかりでなく、歌謡曲に合わせて踊ることもあるのだそうです。そして、お歳をお聞きして、私たちの予想をはるかに超えていらっしゃったことにまた驚きました。なんと若々しく、輝いていらっしゃることか…!また、いつか、共演が叶いますようにと願いながらお別れをしました。

こちらの会場は、ツアーの中でも唯一、復興センターが主催となり、大槌町社会福祉協議会に協力をいただいて開催しており、地域の自治会や公民館との共催ではないのですが、いつもお世話になっている(一社)槌音の臺さんと、おしゃっちスタッフの皆さんが、普段から協働されることが多く、このコンサートについても臨機応変に対応してくださることが、本当にありがたいのでした。また終演後には、いつも広報のご協力をいただいている、お向かいの喫茶店「ちゃりカフェ」さんに、谷地畝さん阿部さんと共に御礼のご挨拶に…年に一、二度しか訪れることはできませんが、それでもいつしか顔なじみになり、力を貸してくださる方があちこちにいてくださることに感謝しつつ、思いがけない、あらたなご縁の拡がりにも心浮きたつ一日となりました。大槌のみなさん、またお会いしましょう!〈本公演は、岩手県「令和4年度被災者の参画による心の復興事業」補助金を受けて実施しました〉