お知らせ

釜石・平田「音楽の力~つながるかなでるコンサート」

2022.9.6

いよいよ釜石・大槌ツアーも最終日となりました。声楽家/アルトの谷地畝晶子さん、ピアノの阿部夕季恵さん共々、小雨の降るなか平田公民館「音楽の力~AUTUMN TOURつながるかなでるコンサート in 平田」へと向かいます。〈主催:平田公民館 協力:(一社)槌音〉平田公民館の坂を登った先に、この8月から釜石祥雲支援学校が移転してきました。公民館の前を、友達同士で学校に上っていく子ども達、お母さんと歩いて行く小学生。後ろからはスクールバスが追い越していきます。風景がまた、変わっていくことを感じました。平田公民館が出来たばかりの年、津波のあったこの辺りには、まだ道路に電灯がついていませんでした。それでもこちらの都合で、夜に公演を開催することとなってしまい、「お年寄りは来れないかも…」との当時の所長の心配をよそに、25名もの方が、手に手に懐中電灯を持って、コンサートを聴きに集まってくださったことが、昨日のことのように忘れられません。また、あの日はリハーサルの時に「ここに、音楽が流れる、て、今日、今が初めてのことですよ!」と所長さんが、本当に嬉しそうに言われたのも、記憶に強く残っています。そんな思い出深い会場で、今日はどんなお客さまとどんなコンサートが作れるでしょうか。

いつもは窓を背景にセッティングしますが、実はとても響きの少ないデッドな会場で、歌い手には少々辛いのでした。試しに今日は、いつもとは逆に壁側を向いてみようかと実験です。お客さんは、感染者数の釜石市としては多いこのところを反映してか、申込人数は少なめでした。でも、会場にいらっしゃるなり「あれ、今日は向き、逆なの?」と言ってくださる方が何人か。以前にもいらしてくださった方だとわかり、なんとも嬉しく思いました。

こちらの会場でも出た出た月が~♪の「月」を題材に、体にいいことと、脳に良いことを。自らも歌いながら、果敢に挑戦してくださったのは、94歳になるおじいさん。なんともお元気!誰よりも先に、こんがらがらずに、出来ていらっしゃいました。また、谷地畝さんが丁寧に、繊細に、歌の物語を伝えてくださる「椰子の実」も「愛の讃歌」も、みなさんじっくりとお聴きくださり、ショパンの「マズルカ」もポーランドの郷土芸能と思って、聴いてみてくださいね、と阿部さんからのご紹介がありました。「憧れのハワイ航路」の前に「ハワイに行かれたこと、ある方いらっしゃいますか?」他の会場では、0または1だったのが、こちらは複数!!「やっぱりレイって、掛けてくれるんですか?」「そうそう、ツアーで行くと空港に着いた時に掛けてくれるのよ」お客さんと、そんなやりとりもありました。そして、なんともこの歌は高い湿度も、カラッと忘れさせてくれる効果があるような…?

最後、また、寒い頃に来ますね、とお話しすると大きな大きな拍手が起こりました。次の時に聞きたい曲、歌いたい曲のリクエスト、ぜひ教えてくださいね、とお願いすると、多くの方が熱心にアンケートを書きこんでくださいました。お一人、アンケートの聞き書きのお手伝いをしました。「今日の歌を聴いて、とっても励まされました。また来てくださること、楽しみに、私もまた明日から頑張りたいと思います」と、そう書いてね、と。リクエストは…「ひばり、がいいわね、釜石にずっと昔に来た時に、観に行ったのよ!こんなに小柄で、丸っこいお顔をして、とっても歌が上手でしたよ」と。「りんご追分」のリクエストをいただきました。まさか、美空ひばりさんを生で、そして釜石で、聴かれたことがあったとは、びっくりでした!

公民館の横のネットワークに、「復興コンサート」が拡がるきっかけをいただいたのが、この平田公民館でした。初めて来た頃から、周りの風景は少しずつ少しずつ、ずっと変わり続けています。また次回もみなさんに喜んでいただけますようにと、しっかりみなさんのリクエストを受け止めて伺いたいと思います。〈この公演は、岩手県「令和4年度被災者の参画による心の復興事業」補助金を受けて実施しました〉